ドヤの住人が引き起こした傷害事件を通して、悪質な手配師たちのやり口と、ふきだまりと知りながら抜け出すことのできないドヤ人種の実態をつく。港湾荷揚げ作業に従事していた自由労務者の大関三郎（小瀬朗）は、悪意をもって自分を岸壁から落とした手配師・芝崎組の小頭・福来を天びん棒で殴りつけ、海中に転落させ、全治４週間の傷を負わせ、起訴された。三郎の国選弁護人となった田中（沢本忠雄）は、おれたちのピンハネをして左うちわで食っているやつらをたたくのは当然といったような被告の態度に驚く。そして、１日4000円の労賃を取りながらドヤ街を出られない自由労務者の生活の実態を知るために、田中はドヤ街を訪れた。なお、このドラマ制作の際は、スタジオの半分に、同局美術部苦心の横浜港岸壁と海のセットを作った。この海のセットは広さ40平方メートル、深さ1.5メートルの大きな木箱をつくり内側にブリキを張ってその中いっぱいに水を注ぎ込んだ。【以上、毎日新聞1964/09/23付より引用】【役名（演技者）】弁護士・岸本昇（仲谷昇）、弁護士・井上圭子（河内桃子）、弁護士・田中良平（沢本忠雄）、弁護士・久保宏子（南風洋子）、石原勇（小川治彦）、早川路子（金井克美）、大関三郎（小瀬朗）。