アパート暮らしで子どももない白木三吉（大坂志郎）と圭子（淡島千景）の夫婦は単調で味気ない毎日を送っていた。いつしか倦怠期に入っていたのだ。三吉は化粧品会社のセールスマンだった。三吉の同僚である加山（田中明夫）はそんな三吉を刺激するように、出先で起こる女との冒険を自慢そうに話した。三吉も無意識にそれを求めていた。主人の出払ったアパートは女だけ。それも家庭の主婦である。圭子は「同じアパートに住む或る奥さんが八百屋に手を握られた」という噂を耳にしたり、クリーニング屋から「パートタイムを利用して男と遊べる面白いアルバイトがあるがどうか」と誘われる。アパートの奥さんたちはみんな退屈をしているようだ。三吉は訪問先で偶然過去に関係のあった女に出会った。浮気の機会と気負ったが当の女は彼に商談をもちかけるだけ。圭子も夫に隠してある男から手紙をもらい、男のホテルに出かける。だがその男というのは圭子が幼いころ別れ別れになっていた父だったのだ。その夜、二人は何事もなく帰宅した。そして夫婦は単調な生活を打ち破って貧しいながら子どももある新家庭を作ろうと誓い合った。【データ協力：のよりん】【参考文献：石井ふく子著「お蔭さまで」（1993/06/20、世界文化社刊）】