工藤あや（西田尚美）の部屋に、突然、大須賀由紀夫（近藤芳正）が飛び込んできた。由紀夫はキッチンでえずき、水道の水を飲み…そこで、帰る場所を間違ったことに気がついた。 以前、この部屋に恋人と一緒に暮らしていた由紀夫。だが、別の女性との浮気が彼女にばれ、ふられてしまった。引っ越した今も酔っぱらうと、間違ってここに帰ってきてしまうと、あやに詫びる由紀夫だった。帰ろうとする由紀夫に、あやは自分も男に捨てられ、逃げられたと告げる。10年前の辛い過去を話すあやに、嫌なことはみんな忘れたほうがいいとなぐさめる由紀夫。だが、あやは自分を捨てた男を探し続け、東京に出てきたのだった。そんな男のことは忘れろという由紀夫は、自分も彼女のことは忘れるという。忘れるのは得意なんだ、と。あやに似たものを感じた由紀夫は、初めて会った気がしないと、あやを誘う。そっと二人の顔が近づいたそのとき…。【以上、朝日放送広報資料より引用】「三鷹市井の頭にあるマンションの302号室。真っ暗な部屋に入ってきた大須賀由紀夫（近藤芳正）だが、女性の叫び声に驚き、電灯をつける。部屋には工藤あや（西田尚美）が。そこは由紀夫が一か月前まで住んでいた部屋で、酔って間違えてこの部屋に帰ってきたのだった。下着泥棒や強盗ではないことを納得してもらった由紀夫はあやと話し込む。由紀夫は同棲していた恋人に浮気がバレて別れたため、引っ越したようだ。なぜかあやが自分や恋人だった〔オイカワ・ミサキ〕の名前を知っているので驚く由紀夫は、あやが部屋に届いた由紀夫宛ての手紙を読んでしまったことを聞かされる。そこには「やり直したい」と書かれてあった。そこには新しい携帯電話の番号が書かれてあるが、由紀夫はかける勇気がない。あやに急かされて電話をかけてみるが、現在使われていないことになっていた。帰ろうとする由紀夫だが、あやも10年前に故郷で男に捨てられたという話を聞かされる。その男は、町で男たちに因縁をつけられた時にあやを置いて逃げたらしい。あやはそのせいで妊娠したという。その時に出来たという宏樹という子供と一緒に撮った写真がドアに貼ってある。その男は連絡先も告げずに消えてしまったらしいが、あやはその男が上京したことを知り、彼を探すために自分も上京してきたと話す。そんな男のことは諦めろと言う由紀夫。由紀夫は、臆病な自分を変えるために世界一周の旅でもしてみようかと考える。あやも自分を変えたいと言い出すので、由紀夫はあやに一緒に世界一周の旅に出ようと誘う。そこで由紀夫は郵便物からあやが以前はこのマンションの503号室に住んでいたことに気付く。あやは下着泥棒が怖くて引っ越したというが、それなら下の階に引っ越したことが納得出来ない。そこで由紀夫はドアに貼ってある写真の文字と、〔ミサキ〕から届いたという手紙の文字が同じであることに気付く。手紙はあやが書いたものなのだ。あやという名前をやっと思い出す由紀夫。10年前にあやを捨てて逃げたのは由紀夫だったのだ。一か月前に偶然このマンションに引っ越してきて由紀夫を発見したというあや。由紀夫はすぐに引っ越したが、酔ってマンションに戻ってきたのを見て、部屋を移って待ち受けていたのだという。由紀夫はあやが宏樹という子供と撮った写真の貼ってあるドアの中へ追い込まれる。子供部屋のようだが、どうやら宏樹という子供など存在しないようだ。あやは「この家からやり直しましょ、家族三人で」と言いながらドアを閉める。由紀夫の叫び声が。ドアに貼られた写真が大写しになると、あやと宏樹という子供の彼方に小さく由紀夫が写っている。【この項、文・市村】」協力・MEW、オフィス・ウィンズ。