2005年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品。「あるカメラメーカーの顧客相談係、ここには様々なクレーマーが訪れる。横山とく子（34）（鈴木京香）はここのクレーム処理のスペシャリスト。彼女はバツイチで、前の亭主・松本秀人（35）（香川照之）は自分から家を出て行きながらも、たまに現れては、とく子に借金の申し込みばかりしているダメ男である。「社長をだせ！」クレーム処理室に怒号が飛び交う。今回のクレーマーはヤクザだ。この部屋にはヤクザからマニアックな愉快犯まで様々な人間が訪れる。とく子は時にはなだめ、時には脅しと、テクニックを駆使して対応している。ある夕、池田信一郎（50）（小林薫）が訪ねてきた。少し翳りがある男前でその姿にとく子は、一瞬で心奪われる。ストロボに問題があるとの事で、とく子はカメラを預かるが、実は単純な操作ミスであることは分かっていた。しかし、あえて指摘しなかった。もう一度会いたいという気持ちからだった。数日後、池田は約束の時間に現れなかった。翌日、とく子は休みにもかかわらず、カメラを持って池田の家を訪ねた。池田は仕事の出張が延びたため行けなかったと謝った。二人の間に会話は弾んだ。池田は3年前に事故で家族を亡くして一人身だと分かった。とく子にとって幸せな時間だった。その後、仕事の面では、ヤクザのクレーマーに1000万の慰謝料を要求されたりと大変だったが、池田との関係は親密になる一方で、とく子は満たされた日々を送っていた。しかし、ある日池田が金に困っていることを知ってしまう。1000万円用意できないと海外に逃げなければいけないという。この人を助けたい、と思うとく子。そして、とく子はその後、壮絶な事件に巻き込まれていく…。【この項、YTV広報資料より引用】」「見て良かった。脚本・演出が岩松了であるだけに、微妙に関節の外れたような、冷ややかな脱力感が全編にあふれた、ふしぎな手触りの作品になっている。京香はもちろん、彼女に金を貢がせる小林薫も、元夫の香川照之も、中村優子（『血と骨』つながりか）も田中哲司も武田真治もみんなそれぞれ印象を残す仕事をしていた。【この項、文・練馬大根役者】」民間放送連盟賞の授賞理由は以下の通り。「あるカメラメーカーのクレーム処理担当の女性を主人公に、ヤクザや愉快犯など、クレームに訪れる一癖も二癖もある人々との人間模様を描いた。物語は、クレーム処理に訪れた男との恋愛関係を中心に展開する。バツイチで「負け犬」の主人公が、正体不明のおかしな男に惹かれていく過程がスリリングだ。ヒロインを演じる鈴木京香の魅力もふんだんに生かされており、劇作家でもある岩松了らしい。作品世界と「大人のドラマ」への可能性が感じられた。」セーフティーコーディネート・中村　覚司。撮影協力・JOYSOUND、セレスティンホテル、ダイワハウス、仲通りギャラリー、新興プランテック株式会社、笠井タクシー、群馬県水上町、横浜フィルムコミッション、横浜市交通局、ユーティリタスほか。プロダクション協力・映広、日本照明、アクティブ21、グリフィス、トッキーズユニオンパラダイス、サニー企画、オフィス童夢、国際プロ、1969、川原GEKIDAN。車輌・山谷　貴史、井上　　悟、石原　　充。美術協力・東京電力、FUJITSU、京立電機株式会社、中田　友一。