ＢＳ－ｈｉ版を見て以来もやもやしたものを感じていましたが、原作を読んでみてその謎が解けました。肝心のテーマが描かれていないのです。この物語の肝は二つあります。一つは実話（阿波丸）をベースにすることで埋もれた歴史に光を当てることにあり、この部分は現代シーンが請け負っています。この部分はまずまず。もう一つは‘何故弥勒丸が待ち伏せ攻撃をされたか’の謎解きの部分で、連合軍（米軍）の諜報能力に鈍感だった大本営の愚かさ（あの戦争の愚かさ）を浮き彫りにすることにあります。実際資料によると、1942年のミッドウェー海戦（空母４隻を失う敗戦）の時既に日本軍の行動は丸裸にされていた形跡さえ見られるのですから。つまり何を積み何処へ向うのかを知った上での攻撃は決して誤認等ではないのです。そこを描かなければ意味がありません。実際原作を読むとターニャと留次に近づいた諜報員によってかなりの情報がもれていますから。単なるサイドストーリーである島崎百合子とのラブストーリーを設定を変えてまでメインに持ってきたことでさらに訳の分からない作品になってしまった気がしてなりません。【以上、文・ウルトラマリン。西暦表示に改めました】地上波では、2004/07/31、土曜19:30～にNHK総合テレビにて前後編まとめて初放送された。