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ドラマ 詳細データ足にさわった女

東海道線の車中でくりひろげられる珍妙なやりとりが絶妙の生ドラマ。のちに映画化された。一部資料では、番組名を「ゴールデン劇場」と記載しているものがあるが誤りと思われる。「岸惠子のテレビドラマ初出演作。【この項、文・カミコロ】」「一週間の休暇をとって上京する大阪天王寺署のスリ係刑事北五平太(フランキー堺)が、車中で女スリ塩沢さや(岸恵子)とあう。彼女は前にすわっていた重役(菅井一郎)のサイフをすり、五平太に感づかれる。ところが年とった女スリ(梅野公子)が現われて五平太もさやもサイフをすられ、二人は熱海で降りる。さやはここで小説家大仏二郎(永井智雄)にあう。彼は女スリを主人公にした新聞小説を書くところで、彼女から十万円とられながらも美人なのが気に入り、小説のモデルにしようと追っかけ始める。しかしさやはスリがいやになる。大阪へ帰る車中、いつの間にかお互いにひかれ始めた五平太とさやが並んですわっていると、前の客の読んでいる新聞に「「女掏摸」大仏二郎作、明日より連載」と出ていた。何ということもなさそうな軽いストーリーだが、これを「ロマンチック・コミック・スリラー」として気のきいたおもしろいドラマにしようというのが市川氏のねらい。テンポを極力早くして、書き割りには横山泰三氏の手になるマンガの切り抜きを利用したりする。岸恵子はテレビ初出演。ほかに北林谷栄、ジェリー藤尾、桂小金治、大辻伺郎、久里千春らも顔を出すというから、出演料だけでも相当になり製作費は百万円見当とのこと。【この項、朝日新聞1960/06/15付より引用】」「セットは全部黒いバックの書き割りで、車中の客は主要人物以外は横山泰三がデザインした等身大のマンガの切り抜きを使うという変わった手法を使っている。【この項、「朝日新聞」より引用】」「『足にさわった女』(3日日本テレビ)は、軽妙なタッチの中に、黒バックの書き割り、等身大の切り抜き漫画という実験演出が生かされ、テレビドラマの幅広いワクを物語ってくれた功績が認められる。【この項、朝日新聞1960/07/05付「週間モニター」より引用】」「たまたま来客中に、このドラマが始まった。雑談に紛れて最初の方を見逃し、いっそスイッチを切って接客に専念しようかと考えていると、お茶を運んで来た女房が、突然客前も憚らず、頓狂な声をあげた。「あら、あれ、何かしら?」見ると、白い着物に黒い羽織を着たキザな男が、青年を相手にゴキゲンで喋っている。それだけでは、別段変哲もない画面だが、近景右端に、何か奇妙なものが見える。「ああ、あれ泰三のマンガじゃないか」今度は、客が、大きな声をだした。「そうだわ、あれ、俳優の代りよ、何か食べてるんだわ。これ、食堂車よ」「ふーん、キャスト費安くあげやがったな」僕は、すぐミミッチイことを考える。「でも、おいしそうに食べてるわねえ」違いない。泰三マンガの、頭に毛の無いオッサンは、何んとも天真ランマンに、肉を突き刺したフォークを口に運んでいる。その切り抜きのかげで、これは又、如何にも不味そうに皿をつついていた本物の人間、フランキー堺が、突如憤然と、羽織の男に食ってかかり、珍妙な議論が始まった。スリに美人がいるかいないかという頗る無邪気なテーマを、ムキになって論じる二人のサマは、泰三のマンガ以上にマンガに見える。われわれ三人の聴視者は、いつの間にか、互に接待することもされることも忘れて、ニヤニヤと画面に見入っていた。場面が、二等車の車内に移るとここにも、泰三のマンガが、あちらこちらで大きな口を開けて眠っている。その中を、パリッとしたパリモードの岸恵子さんが、モジモジとシナを作ってオシッコに行く。このマダム恵子(失礼、劇中ではマドモアゼル恵子)が、実は女スリで、まんまと二等客の財布をせしめ、トイレで変装して、今度は真っ黒な田舎娘に化け、三等車に行き、見知らぬ婆さんの世話を焼いてやる。婆さんは、懐を狙われているとも知らず、人もあろうに刑事のフランキーに「こんな娘を嫁にしなされ」とすすめる。その横を、泰三マンガの車掌さんが、「次は熱海イ」ととぼけた声で通り過ぎる。万事こんな調子の、いつの間にか浮世を忘れて、画面に見入ってしまうような、しゃれた愉快なドラマだった。内容はどうということもなく、まことに他愛ないお話だが、しゃれているということは、それだけで十分に値打ちのあるものだ。テーマに正面から取り組んだ見応えあるシリアルドラマも結構だが、たまには、しゃれのめすようなドラマを見ることも健康にいい。既成のワクに縛られない自由な精神を持つ作者達によって、こういうドラマがどんどん生まれれば、テレビはもっともっと面白くなるだろう。【この項、文:柴英三郎氏(「テレビドラマ」(現代芸術協会刊)1960/08-9合併号より引用)】」【役名(演技者)】女[塩沢さや](岸恵子)、刑事[北五平太](フランキー・堺)、小説家[大仏(だいぶつ)二郎](永井智雄)、女万引[築前春子](北林谷栄)、警部(浜村純)、女の弟分(大辻伺郎)、新聞記者[花輪次郎](ジェリー・藤尾)、警視(小笠原章二郎)、重役(菅井一郎)、熱海の巡査(桂小金治)。【参考資料:書籍「タレント名鑑 No.2」(1963/06/30発行、編集:日本タレントクラブ、発行:芸能春秋社)[相原巨典の項]】
キー局 NTV 放送曜日 放送期間 1960/07/03~1960/07/03
放送時間 21:45-22:30 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 東レ サンデーステージ(第1回)
主な出演 岸  恵子岸  惠子)、フランキー・堺フランキー堺)、永井 智雄北林 谷栄北林 谷榮)、浜村  純大辻 伺郎ジェリー・藤尾ジェリー藤尾)、小笠原章二郎菅井 一郎桂 小金治久里 千春相原 巨典
主な脚本 久里子 亭市川  崑和田 夏十
主な演出 市川  崑北川  信、(演出助手:江守 哲郎田中 知己
原作 (沢田 撫松・作「足にさはつた女」より)
局系列 NNN
制作 若尾 初男
音楽 (オンガク:山本 直純)(ミキサー:斎藤喜久雄
撮影技術 (TD:竹上 直志)(カメラ:矢沢 光明)(照明:青木 久一
美術 鈴木 雅博、(カット:横山 泰三

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