1964年、夏。藤沢みこ（一路真輝）と作家の父・省二郎（杉浦直樹）は、今まで住んでいた立派な屋敷を売り払い、鎌倉にある小さな家に引っ越してきた。妻が生前、「省二郎が死んだら相続税を払えない」と訴えるので、土地も家屋も妻名義にしていたのだ。しかし妻は夫より先に逝ってしまい、省二郎たちが相続税を払うハメになった。格下の家に住む事になり機嫌の悪い父を、みこは荒々しい言葉で叱り飛ばした。傍目には奇妙な光景に映るが、これが二人の日常だった。戦争で体を壊し自宅療養するみこは、お手伝いの吉川きよ（野村昭子）に家事を手伝ってもらいながら、初老の父と日がな一日顔をつきあわせている。何かというと、みこは父に辛らつな言葉を投げつけるが、省二郎は娘の気性や心根の優しさを理解しているつもりだった。だが、いざ自分の再婚話となると、娘に気兼ねしてなかなか言い出せないでいた。省二郎はみこと同じ年の高野冴（竹下景子）という女性と付き合っていて、既にプロポーズしていたのだ。そんな省二郎とみこの親子関係を見抜いた冴は、ある提案をする。結婚をしても一緒に暮らさず、昼間は冴のアパートに通い、夜は必ずみこの待つ自宅へ帰ること。更に、みこと冴は会わない方が良いと言う。冴の言い出した「妻問い婚」に省二郎は戸惑うが、みこはそれを了承。みこと省二郎と冴との不思議な生活が始まった。【以上、TBS広報資料より引用。年代表示を西暦に変更】。