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ドラマ 詳細データ姉妹のまん中

婚期を逃した、いわゆる三十娘の複雑な心理を女性の作家らしい感覚で描いた作品。三人の姉妹役に人を得て(特に次女の渡辺美佐子は適役で好演)、割合にまとまった作品として楽しむことができた。前半は母と次女・三女の会話を中心に姉妹の性格・状態を紹介してゆく。そこまでは、テンポのある筋の運び方がドラマを引きしめていたのだが、後半次女の縁談が展開されるあたりから冗漫気味になった。カット替りに季節の花を使ったことは時間の経過を示して効果的であったのだが、バラの花から電話機へパンするショットを長々と写したりしたことは、せっかく快調であったドラマの流れを中断してしまったようである。この種の停滞は、民放の場合CM挿入ということのために度々みられる欠陥である。更に後半に登場する三人の男性は全くのお添え物的な存在であった。姉妹の相手はどんな人物かという聴視者の欲求を満足させるためには三人の登場が必要であることは認めるが、姉妹の生活に焦点をしぼりまとまっていた作品がこれらによって散漫としてしまったことは惜しい。三女の恋人を陰の声だけで紹介した部分などは聴視者に想像の自由を与えることになり、かえってすっきりした手法であったように思う。長女の夫を紹介するシーンでは、子供がアイスクリームを食べるショットを必要以上に長く扱ったわりに、夫妻の会話の部分は省略されすぎていたようである。テレビ・ドラマに於いては往々にして無意味と思われるような添景が思わぬ効果をあげる場合も多いが、その反対に必要な人物や事物が案外無意味なもののような印象を与えてしまうことも少なくないようである。無駄なものをはぶいたために失敗したシーンとして、前半の母と次女・次女と三女の対話に於けるアップの連続があげられよう。台詞をしゃべる俳優の顔を交互に写すことの繰返しは、短い台詞の応酬になると画面も忙しく切り替ることになる。観ている側は唯目まぐるしいだけで目を閉じて声だけを聞いていたほうがよいということにもなりかねない。アップの流行も結構ではあるが、表現しようとするものをアップにするというだけでは何とも能のない話である。こうした細部を充実させ、全体の雰囲気を盛上げることは今後の演出家に課せられた問題の一つであろう。【以上、文:瀬川佳江氏(「テレビドラマ」(現代芸術協会刊)1960年7月号より引用)】【データ協力:のよりん】【参考文献:石井ふく子著「お蔭さまで」(1993/06/20、世界文化社刊)】
キー局 KR 放送曜日 放送期間 1960/05/29~1960/05/29
放送時間 21:45-22:45 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 東芝日曜劇場(第183回)
主な出演 渡辺美佐子島崎 雪子大空 真弓大空 眞弓)、京塚 昌子原  保美北村 和夫園井 啓介田沢 幸夫城所 英夫
主な脚本 (脚色:樹下 咲子
主なプロデューサ 石井ふく子
主な演出 小松 達郎
原作 佐多 稲子
局系列 JNN
制作会社 KR
音楽 塚原 哲夫、(AUDIO:小林 正明)(効果:蒔田 尚晃桜井 清史
撮影技術 (技術:吉本 塚也)(照明:加藤 静夫岩渕 輝雄阿部 修也
美術 (装置:八木 恵一)(衣裳:山我 幸江)(化粧:小松 英子)(美術進行:森本  班

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