「３月は「別れの季節」であり、新たな局面への「旅立ちの季節」でもある。子どもから大人へ、中学生から高校生へ。弱い自分から強い自分へ。シリーズ「旅立ち」ではそれぞれの決意を胸に、残り少ない中学時代を過ごしている中学生たちの微妙な心の揺れを描く。梶井基次郎の代表作「檸檬」の世界に魅せられた女の子が、周囲のプレッシャーから押しつぶされそうになり、一人の生徒との出会いを通して、ようやく本当の自分を取り戻す過程を描く。3年C組の安福美奈は成績優秀で、クラスの人気者。ついたニックネームは「賞状コレクター」。すでに県内一の進学校への入学も決まっている。しかし、美奈の心には誰にも言えない「澱」のようなものがたまっていた。そんな美奈が落ち着いていられるのは、部屋で１人パソコンに向かい梶井基次郎の「檸檬」を書き写している時だけであった。「えたいの知れない不吉な魂が私の心を終始圧えつけていた焦燥と云おうか、嫌悪と云おうか……」（「檸檬」より）。精神的に追い込まれた美奈は、空想の世界（本の世界）に救いを求める。そんな美奈の前に、クラスの中で誰にも相手にされない兵藤友美が現れ、美奈の心の内を鋭く指摘する…。【以上、NHK広報資料より引用】【役名（演技者）】矢場先生（竹本孝之）。