函館で起きた二つの殺人事件に隠された人間の愛憎劇をめぐる異色のサスペンス作品。函館の町に、旅の男・戸浦芳夫（柳葉敏郎）がふらりと降り立った。その夜、町の金融業者が事務所で何者かに刺し殺された。静かな町に衝撃が走った。男手ひとつで小料理屋を営む及川正三（左右田一平）の長女・夏子（余貴美子）は小学校教師ながら夜は父の店を手伝っている。家を出ているバツイチの妹・春美（いしのようこ）は漁協に勤め、けっこう派手に遊んでいた。まじめな働き者で通っている夏子は、実は春美の別れた前夫とひそかに逢っていた。正三の店は、立ち退きを迫る建設業者に嫌がらせをされていた。そんなある日、正三が脳梗塞で倒れ、店を続けるために、東京のレストランで働いていたというよそ者の戸浦を臨時の料理人として雇い入れた。戸浦は料理の腕は確かで男前、そして漁協課長の心臓の悪い息子を励ましたり、あくどい建設業者から店を守ったりして夏子も心ひかれるが、春美が先にちゃっかり戸浦と親しくなってしまう。その春美の勤める漁協では、近ごろ春美の夜勤の夜に決まって金庫から金が盗まれるようで、漁協課長らは春美と親密な戸浦をマークしはじめる。夏子は、その戸浦を追ってひそかに逢いにくる女の存在に気づくが、戸浦は否定する。しかも、警察が指摘する金融業者殺しの犯人が受けたのと同じ腕の傷が戸浦にもあることを夏子は見てしまう。しかし戸浦にすっかり心を奪われている春美は戸浦と結婚するとまで言い出し、反対する夏子を、妹の幸せを邪魔したいのだとなじる。人間の愛憎をめぐる異色作品。【以上、フジテレビ広報資料】大人のラブストーリーの佳作。ややオーソドックスすぎる展開・結末だがそれゆえ余計な要素のない純度の高い雪の結晶のような仕上がりとなっている。【役名（演技者）】及川夏子［小学校教師］（余貴美子）、及川春美［夏子の妹］（いしのようこ）、戸浦芳夫［旅の男］（柳葉敏郎）。