人気シリーズの第20作。今回は小林が狙撃されたり負傷したりとはじめてハードな役柄に挑戦。「小林桂樹がベテラン刑事官にふんする人気シリーズ。20本目を数える今回は、ワイドショーをにぎわせた羽賀研二を病魔に冒されたミュージシャンに配し、手にした人を犯行に駆り立てる銃の恐ろしさを描く。拳銃のはんらんが社会問題になっている折、タイムリーな企画だ。牟田刑事官（小林桂樹）が深夜、強盗を目撃した。間もなくサックス奏者の秋村（羽賀研二）の名が捜査線上に浮かぶが、行方をくらました後だった。牟田は秋村のかつての恋人・友子の家を訪ねる。彼女に婚約者がいることを知り、訪ねたことを後悔するのだった。それから間もなく、牟田は偶然、友子の父親（高橋悦史）と会い、友子が結婚したことを知らされた。その直後、若い警官が刺し殺され、拳銃が奪われた。弾は三発。最初の引き金が、牟田に向けて引かれた。事件の早期解決のために、銃口の前に身をていする牟田。アクションシーンを生かした展開は、このシリーズとしては初めてだ。野放しとなった銃が、サスペンスの緊張感を高めている。虫けらのように殺される哀れな男を、体当たりで演じる羽賀にも好感が持てる。ただ、犯行の動機を前半ににおわせているため、せっかくの意外な結末が少々色あせて見えるのが残念。【この項、「読売新聞」1995/01/28付「試写室」より引用（署名・一）】」