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ドラマ 詳細データ容疑者

かつて夜のプリズムで放送した作品のうちに『容疑者』というものがある。これは映画「真昼の暗黒」のテレビ版とでも言うべき内容であって、これについて少し述べてみたいと思う。ある海辺の町にセールスマンが集金に来るところからドラマが始まる。この町は夏場だけ海水浴客で賑わうがそれとともに犯罪も増加するので、人々は所謂、他国者(ヨソモン)を白眼視している。たまたま、このセールスマンの泊った宿屋に白昼強盗が押入り、帳場から宿の金と彼のあずけた鞄を持去る事件が起きる。外出から帰ったセールスマンは「被害者」として警察に善処を求めるが、逆に他国者という一事によって調べられる役目になる。道を尋ねたり、駐在所の所在を聞くという何気ない彼のこの町での最初の行為が人々の偏見によってゆがめられ、思わぬ不利な証言となり、アリバイの不備も手伝って、遂に「被害者」であった彼が強盗事件の容疑者と変るはなしである。勿論、真犯人は他にいて、ドラマはその暗示で終っているが、かかる不測の事態は吾々の周辺において何時起るとも限らず、それが当事者の意識とは無関係に事態が進展するということの一事を以ってしても、吾々は慄然たるものを禁じ得ない。このような人間社会に於ける不可能な罪悪、心理の盲点等々、生活に密着した点より描出された真の意味のミステリイなサスペンスの追求――これこそ、文芸推理劇をモットオとする「夜のプリズム」の一つの在り方であると思っている。以上ほんの一例ではあるが、タイトルでもお判りのようにあえてスリラー風なムードを売らずに夜のプリズムとした事は、前述のような傾向の作品を軸として、スリラーコメディはもとよりのミステリイ・ハードボイルド等々……、此の番組のレパートリーをより広く普遍的にしたいためである。スリリングなサスペンスという型を借りたエンタテイメントこそ夜のプリズム本来の狙いであり悲願でもある。【以上、文:秋田英雄氏(「放送ドラマ」(雑誌、清和書房刊)1960年1月号より引用)】
キー局 NTV 放送曜日 放送期間 1959/07/01~1959/07/01
放送時間 22:00-22:30 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 スリラー劇場 夜のプリズム(第24回)
主な出演 高橋 昌也田代 信子たしろ之芙子)、浮田左武郎浮田佐武郎)、松平 直子
主な演出 秋田 英雄
局系列 NNN

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