この時点までに放送された『東芝日曜劇場』から名場面集を集めたもの。テレビドラマではないが、ドラマ枠の一環としてのアンソロジー的な番組のため便宜的に当データベースに収録している。「「流れゆく日々」を見て、このタイトルが決して制作者の感慨ではなくて、この『東芝日曜劇場』がテレビドラマの歴史そのものであり、1100週、あしかけ23年の社会、風俗、そして人の移りかわりを見事に反映しているのに改めて驚ろかされた。これまで放送された1100本の中から、話題作28本を選びその名場面をオムニバス風につづっていく。まだビデオテープがなく、もちろんモノクロだった初期の作品、舞踊劇の「涙橋」の再現、その途中でパッとカラーに変わるその中にもテレビドラマ制作の〝流れゆく日々〟がある。ビデオテープで再現される名場面の中には伊志井寛、森雅之など故人もたくさんいる。この番組で初めてテレビドラマに出演した山本富士子、高峰秀子のなんと若々しいことか。ここにも〝流れゆく日々〟がある。画面に出る有名俳優126人、ほかに平岩弓枝、橋田寿賀子、倉本聰氏など脚本家が、それぞれ「日曜劇場」について語る。〝天国の父ちゃんこんにちは〟主演の森光子のいう「この名場面を見て人それぞれに思い出がある。テレビは決して消えていくものではないのです」ということばが印象に残る。この記録番組制作後、石井ふく子プロデューサーが「一作一作ていねいに作ってきて本当によかった」と語っていたが、この集大成に同プロデューサーの〝流れゆく日々〟の努力が伝わってくる。単なる番組PR、名場面ダイジェストにならなかったのは、こうした制作者の姿勢がバックにあるからだろう。【この項、「毎日新聞」1978/01/01付「視聴室」より引用（署名：佐）】」