京都の先斗町を舞台にしたラブコメディーで、先斗町育ちの安藤孝子が考証を兼ねて話題となった。【以上、「大衆とともに25年」（1978年、日本テレビ刊）より引用】先斗町を舞台に、色街の恋と人間模様を描く異色のホームドラマ。脚本の西条道彦は後年、本作を「不本意な仕事だった」と自著で次のように述懐している。「不本意な仕事をしたディレクターの例をあげておこう。MBS（毎日放送）やABC（大阪朝日放送）など関西の局でもずいぶん仕事をしたが、この人が典型的な大阪商人だと思ったのは、YTV（読売テレビ）の荻野慶人ディレクター（現同社東京制作局シナリオ委員会委員長）である。気のあわないことこの上ない。（略）直情径行の私も、この人にはいいようにおだてられ、あれよあれよという間に、彼の思い通りに書かされてしまった。ワンマン監督というのとはまったくタイプがちがう。人あたりは実にソフトなのだ。そして私の主張をすべて飲み込んだ顔をしながら実はほとんど無視し、結果としてワンマン同様に自分の目的をつらぬいているというのだからすごい。すぐれた演出家である。それはたしかだが、私にはすご腕の大阪商人に＜してやられた＞という印象のほうがつよい。『おきばりやす』というタイトルからして気にいらなかったし、もちろん不満が残る作品だが、彼は気にいって豪快にわらっていた。最終的に作品に仕上げるのはディレクターである。放送の年月日も忘れた。それ以後は年賀状の交換だけがつづいている。【この項、西条道彦著「TVドラマはこう書く！」（1998年、映人社刊）より引用】」一部資料では全13回と記載されているが誤りと思われる。