赤坂の老舗の履物店を舞台に男勝りのヒロインの活躍を描く。18年後の1988年にこのドラマを記憶していたマンガ家・秋本治がこのヒロインのイメージをもとに「東京深川三代目」というマンガを執筆した。カラー放送。「これはこのところテレビで当たっている〝商売屋ドラマ〟の新装開店だ。もちろん設定は少し変えている。舞台は赤坂のはき物店、お汁粉屋、タビ屋の三軒十人のレギュラーが登場する集団ドラマとなっている。小杉はき物店の店主・松助（柳家小さん）は、ファッションショーを開く計画を立てる。それにはタビの小野屋の助けが必要だ。ところがそこの女主人タミ（市川翠扇）と松助は、幼なじみのくせにケンカ友だち。一方、年寄りの不仲とは反対に、はき物店の孫・八重子（山本陽子）は、タビ屋の孫・一郎（高橋長英）にアツアツだが、ままならぬ恋に業を煮やし、これまたケンカ別れ。恋あり、ケンカあり、それにみえっぱりの江戸ッ子気質をユーモラスに描く笑いもありと、ソツのないまとめ方だ。ただし、その印象は優等生が要領よく勉強して、八十点の答案を書いたというところか。題材がいささか飽和状態の商売物の上に、手なれたタレントでホームドラマの堅い線をねらいすぎた感じ。出演陣では、小さんがトボけた味で好演。【この項、読売新聞1970/07/07付「試写室」より引用（署名：権）】」提供：三菱電機、藤沢薬品。【校正協力：ヨシダ】