この作品は、1950年５月から10月にかけて新大阪新聞に連載された井上靖の最初の新聞小説である。すでに人生のスタートにおいて傷つき、幾度か危機に立ちながらも、潔癖に明るく生きようとするヒロイン夏子と、複雑なかげりを永遠に負って歩む彼女の義兄・沢木との結実することのない愛を、幾多の登場人物の心理のあやの中に描き出した物語。沢木には山村聡、夏子には市川和子がふんする。【以上、読売新聞1962/05/24付より引用】「武田ロマン劇場」（放送期間1961/10/12～1963/04/11）の一編。