放送当時を出演の富田浩太郎が語っている。「ミュージカルの話をしていて「おれも一つやりたいな、楽しかろうな」といったのが間違いのもとで、本当にそのミュージカル『天狗の蝶結び』(NHK)をやることになってしまった。そこで先ず歌の録音となったが、トランペットやドラムが猛然とうなり出すと自分の声がまるで聞こえない。それに伴奏がひょいと転調すると、つい一緒に転調してそのたびにNGである。休憩になった時合唱をやる二期会の若手の人が「お宅の所属は？」と話しかけるので「私はね、一期会です」といったら妙な顔をして向こうへ行ってしまった。どうも冗談が通じなかったらしい。そこへ今度は踊りの先生がやって来たが、これまた体がにぶくてどうにもならんのに、先生の方は汗みずくである。全くとんだことになったもんだ、せめて踊りそこねて森の木立か何かをぶっ倒さないようにしようと本番当日までは戦々恐々、終わった時は暑さの汗か冷や汗か、文字通り下着をしぼった次第。【この項、朝日新聞1959/09/02付より引用】」カラー作品。