自らが所有する洋館風の別荘で開かれた暮山真里奈（浅丘ルリ子）の新作映画披露パーティーは、マスコミ関係者も押しかけて大賑わいだった。あと少しでクランクアップするこの映画は、長らく芸能界から離れていた真理奈の22年ぶりとなる復帰作。この別荘の前の所有者で友人の坂東都季子（水前寺清子）に誘われてやって来た馬淵淳子（岸惠子）は、夫であり監督の住田亨（草刈正雄）と腕を組んで登場した真里奈の華やかさに目を見張った。芸能人好きでこの別荘の隣に住む鳥羽洋子（西川峰子）の話によると、このパーティーには、真里奈の最初の夫で、この映画に出資している病院院長の野島貴広（寺泉憲）と、二番目の夫で、今回のプロデューサーの沼崎彰（井上順）の２人も出席。他に芸能関係者や、沼崎と不倫の噂がある女優の蒼木麗螺（桜井淳子）まで姿を見せたことで、マスコミ関係者もフラッシュの雨を降らせる。そんな中、にこやかに談笑していた洋子が突然昏倒し、別室に運び出された。３日後、洋子の死を知った淳子は、その死亡内容に首をひねった。死亡診断書を書いた野島の話によると、洋子は昨夜、心臓発作で死亡したことになっている。だが、昏倒直後の様子を見ていた淳子は、洋子がその時すでに死亡していたと確信していたのだ。事件の臭いを感じた淳子は、友人で県警捜査一課長：堂本信吾（永井大）に連絡した上で、妹分で東大卒の家政婦：漆原ルリ子（はしのえみ）を真里奈の別荘に潜入させて捜査を開始した。別荘の住人は、真里奈、住田と付き人の志村英里子（片桐はいり）の３人。盗聴器を使って捜査を進めたルリ子は、真里奈、住田、英里子、そして、殺された洋子の夫：鳥羽悟（谷隼人）の話から、洋子がやはりパーティー会場で毒殺されていたと知った。住田らは、この事件が映画の完成を阻もうとする妨害工作と見て、隠蔽工作を行っていたらしく、もちろん殺人のことは野島も知っていたのだ。真里奈宛で届けられた脅迫状を英里子から見せられた鳥羽は、洋子が真里奈の身代わりになって殺されたと知り、口止め料の増額を要求していた。ルリ子から報告を受けた淳子は、現場で洋子と話していた際に見せたらしい真里奈の奇妙な表情に注目した。現場で回っていた映画のメイキング用のビデオを分析すると、真里奈は洋子の肩越しにある鏡を見て何か沈痛な顔をしているのだ。さっそく、淳子は、ルリ子を使って現場検証を行うが、真里奈が立っていた場所からは階段の壁しか見えない。まもなく、都季子の話から、そこに生まれたばかりのキリストを抱いた聖母マリアの絵が架かっていたことが判明。パーティーの後、なぜか絵はその壁から消えていたことが分かった。そんな折、今回映画に出資した野島の病院が倒産直前だったと判明。野島と映画会社の間で交わされた契約書を分析した結果、映画製作が失敗すれば、野島に出資金を上回る違約金が渡ることになっていたことが明らかになった。だが、真里奈と麗螺のダブル主役という案が浮上する中、野島が何者かによって殺害され、さらに第３の殺人事件も発生してしまった――。【以上、日本テレビ広報資料より引用】アガサ・クリスティー原作のミステリー第２弾。美術協力：ジェムフローレス、rev k shop、AGATHA、S.S. Dupont、REGALO、Felli Folli、BAMBI、TISSOT、IKETEIほか。車輌：麻生リース、ウェルムーブ。撮影協力：公益社用賀会館、群馬県ロックハート城。【データ協力：練馬大根役者】