2004年度テレビドラマデータベース総合ベストテン単発部門６位。2001年9月11日、米で起きた同時多発テロで夫を失った女性の手記をドラマ化したもの。痛切な題材であり、いかようにも情緒的に仕立てうるところを、実話の忠実なドラマ化という物語にとっての枷を逆に生かして、終始静謐で抑制的な語り口に徹した点が印象に残る。【以上・文・練馬大根役者】「2000年、秋。杉山晴美（和久井映見）は、2歳になる長男・太一と、9ヶ月の次男・力斗と共にニューヨークにやって来た。富士銀行ニューヨーク支店に半年前から単身赴任中の夫・陽一（稲垣吾郎）と、家族ともども暮らすためだ。近く他行との合併を控えている陽一は多忙だった。「スギヤマさんは忙しい。奥さんが来てくれてよかった。」陽一と一緒に空港へ迎えにきてくれた韓国人ドライバー・シン（ライアン・リー（Ryan Lee））は、そう言って晴美たちを歓迎してくれた。無口だが親切な男だ。フォートリーの自宅へ向かう途中、一家は陽一のはからいで車を止め、美しい夕景のマンハッタンを眺め、そして久し振りに家族そろって写真におさまった。そんな背景の中に、陽一の働くワールド・トレード・センターが高くそびえていた。それから１年後の2001年９月11日。その日の朝も、いつものように出勤の準備をする陽一と、太一のお弁当作りに追われる晴美がいた。3人目の赤ちゃんを身ごもっている晴美は、つわりで気分が悪い。支度を済ませた陽一は、子供たちの寝顔を見つめ、そして晴美を気遣いながら家を後にした。それが生きている陽一の最後の姿になるとは、晴美は夢にも思わなかった……。【この項、フジテレビ広報資料より】フジテレビ広報資料によればサブタイトルを含むタイトルは、『＜プレミアムステージ特別企画＞「9・11」世界中を震撼させた3年前のNY同時多発テロ。あのとき、犠牲となった日本人銀行員がいた――。残された家族の過酷な運命と前向きな生きざま。犠牲者の妻の手記を、忠実にドラマ化！！　これは、「9・11」をめぐる、真実の物語である。』。撮影協力・都立水元公園、東京ロケーションボックス・東京都、よしかた産婦人科、京王電鉄、コモディイイダ中野店、虎の門パストラル、神保町三井ビルディング、アールシステム。映像協力・CNN Image Source、NBC News Archives、NHK。協力・BK NEXENT、zazou productions,inc.、アスミックエースエンタテインメント。