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ドラマ 詳細データ西鶴置土産より かえり咲き(返えり咲き)

寺山修司が本作について作品評を寄せている。「サブタイトルにあるように、これは西鶴置土産のうちの一つである。ある状況のなかでのみ成立しうるモラルというものが、他の状況に移植されると滑稽になる、ということがある。この作品の美しさは多分この「滑稽さ」に原因があるといえるだろう。主人公(実川延二郎)はもと派振りのよかった商人である。いまは落ちぶれて金魚屋につとめている。ある日その店に旧友たちが訪れてくる。彼は懐旧の念にかられて、自宅へ友人たちを招く。ここでまず最初のドラマがある。彼の妻が夫の旧友のなかの一人が家へ入ることを拒むのである。「私はもと遊女をしていた頃、この方と一度だけ添寝したことがございます。いまは人妻の身ですゆえ、この方と同席することは心苦しくてかないませぬ。」というのがその言い分である。するとその友人が「私とあなたはいま初めて逢ったことにすればよい」と提案し、それから二人は全く、過去などなかったように初対面の挨拶をする。次のドラマは、その友人たちが主人公に金を贈るくだりである。大層な手間をかけて小判を一枚ずつお菓子のなかに仕込んで主人公を友人たちが訪ねてゆくと、そのことを予測した主人公はもう旅に出てしまったあとなのであった。……この二つのポイントは江戸時代の美徳だったものの考え方に原因している。言ってみればこれは「はだかの王様」の話なのだ。登場人物の一人ずつが「義理」という見えない衣装を身につけていて、しかも見事にコスミックな調和に統べられている。主人公は多分、金を貰ったほうが得だったし、旅立つこともなかったのだが、このストイックな身躾みが、いまのぼくらの「眼」でみると内的志向のわがままな幸福者として映るから不思議である。茂木草介はこの主題をよく生かしてかいており、延二郎の他にも梅野泰晴、嵯峨美智子などに感じがよく出ていた。狂言まわしのように出てくる一人の老婆は劇のディティールに全く関係がないために、この話の抽象性を浮き上がらせる効果を生かしていた。難を言えば美術が概念的で、トリビアルな効果に迷わされているため、作品の世界とそぐわなかったことが挙げられよう。【この項、文:寺山修司氏(「テレビドラマ」(現代芸術協会刊)1960年6月号より引用)】」
キー局 ABC 放送曜日 放送期間 1960/04/10~1960/04/10
放送時間 21:15-22:15 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 東芝日曜劇場(第176回)
主な出演 実川延二郎実川 延若)、瑳峨三智子嵯峨美智子)、吉岡 史朗環 三千世高桐  真山口 幸生柳川  清梅野 泰晴
主な脚本 (作:茂木 草介
主な演出 荒木 左近、(演出助手:月村  潔山田 智也)(スイッチャー:高橋 重男
原作 井原 西鶴「西鶴置土産」
局系列 JNN
制作会社 (製作:ABC)
制作 (スタジオ進行:正田 吉信)
音楽 大野 正雄、(ミキサー:中谷  宏)(音響効果:山口 道夫
撮影技術 (シエダー:尾池 弥嗣)(マイクマン:田中  弘)(照明:弘光 和彦
美術 三木 次郎、(操作:邑上 謹也)(装飾:東  四郎)(衣裳:小林 一子)(化粧:荒山  光)(視覚効果:植田  勝

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