日本教育テレビが毎週木曜夜８時から１時間にわたって放送している「文芸劇場」は、『細雪』『歌行灯』など次々と名作を紹介し話題になっているが、７日には夏目漱石の『坊ちゃん』をとり上げることになった。このドラマは素朴な正義感の強い「坊ちゃん」を明るくユーモラスに描こうというのがねらい。そのため脚色の梅田晴夫氏も「長編ものなので、事件を赤シャツ事件にしぼってまとめてみた。従来の坊ちゃんはともすればセンチメンタルにすぎたが、ここではドライにサッパリした坊ちゃんに仕立ててみた」といっている。主役の坊ちゃんは高島忠夫、マドンナを安西郷子、赤シャツを十朱久雄、校長先生を中村是好、うらなりを瀬良明、野ダイコを谷晃、きよを一の宮あつ子、下宿の主人を和気成一といった清新な配役による「坊ちゃん」の新解釈が期待される。【以上、朝日新聞1960/04/06付より引用】