中古住宅を購入した未亡人。だが、中古住宅はどこかヘンだった。やがて地中から出てきた冷蔵庫に恐るべき秘密が隠されていた。ラストは凄惨な場面で記憶に残る不気味なシーン。うまくまとまった佳編。「未亡人の節子（小川真由美）が中古住宅に越してきてから三カ月。電気料金が異常に高い。電力会社に調査をしてもらううちに、思わぬ事実が…。ありふれた日常生活の裏側にひそむ恐怖を描くという新シリーズの第一話。阿刀田高の原作。節子が冷蔵庫の隅に干からびたシシャモを見つけ、いじっているうちに頭がポトリと落ちるシーンは、不気味な結末をほのめかし、随所に流れる電気メーターの音が人のうめき声にも似て、じわじわ恐怖感を抱かせる。しゃれていて、巧みな演出だ。集金人（平田満）に文句を並べ立てたり、隣の夫婦（三谷昇、白石奈緒美）が電気を盗んでいるのでは…と疑ったりする小川のコミカルな演技が、逆に、迫ってくる怖さを盛り上げる。【この項、「朝日新聞」1987/07/06付「みもの」欄より引用】」