中学校の校内暴力をテーマにした森村誠一の小説のドラマ化。下町の中学校に転任してきた数学教師の樹木（小野寺昭）は、番長の牛山（酒井晴人）の号令一下、取り巻き連中が校内をわが物顔でのし歩く実態を目のあたりにする。牛山はほれた弱みで、学級委員の舟木エリ（玉岡加奈子）にだけは頭があがらない。教師の前ではブリっ子を決め込んでいるエリが、ある日マンションを訪れ樹木を誘惑する。樹木に断られるとエリは自分で服を破り警察にかけ込み、樹木に〝暴行教師〟の濡れ衣を着せる。さらに非行グループにけしかけ、樹木の妻、かおる（浅茅陽子）を犯させる。その翌朝、エリの他殺死体が発見された。前半は教師の無責任と親たちの無理解、エゴで事態を悪化させている現在の中学教育の一断面を描く学園ドラマ。後半が殺人犯捜しのサスペンスのあと、家出した妻を樹木が追っかけるメロドラマにと、内容の濃い〝三本立て〟のドラマが展開する。主役の小野寺、浅茅が体当たり演技で、またエリ役の玉岡が新人らしからぬ度胸のいい演技で見せ場を作っている。【以上、毎日新聞1982/11/27付「視聴室」より引用（署名：Ｎ）】車輌：日本照明。