恋人に裏切られた姉の恨みを晴らそうとする妹と父親の執念だが、二人の前に法律の壁ができる。「ある日、ある一人の女性、左右田槇子（竹井みどり）が投身自殺を遂げた。槇子はとある電機会社に勤める秘書だった。槇子の自殺は、槇子の恋人・石川康雄（西田健）の裏切りが原因だった。槇子と康雄は、以前同じ電機会社に勤めていて恋仲だったが、康雄は秘書の立場を利用して槇子をそそのかし騙して企業秘密情報である新製品の設計図を盗み出し手に入れ、それを手土産に競争会社のライバルの大手会社・石川電機に売って寝返った。その上、恋人である槇子を捨てて石川電機の社長のひとり娘・久美子（結城しのぶ）と結婚してしまいには社長の娘婿になり今では総務部長にまで出世している。逆に、挙げ句の果て、槇子は恋人に捨てられ自殺。槇子の父・圭介（岩井半四郎）と槇子の妹・洋子（田中好子）は、姉・槇子の死を嘆き、野望のために恋人だった槇子を捨てて汚い手段でのしあがってきた康雄の裏切りを怒った。圭介は、娘の槇子を利用して、今は石川電機の社長のひとり娘と結婚し、総務部長にまでなっている、康雄がどうしても許せない。待ち伏せして真意を聞くが、康雄の返事や態度は冷たい。圭介の憎悪は日々に膨らむ。そんなとき、洋子に見合い話が持ち込まれた。康雄の陰謀だった。それとわかって苦しむ洋子。怒りがおさまらない圭介は石川家へ押しかけていくが、康雄の義父でもあり石川電機の社長で国会議員も務める当主・悠蔵（鈴木瑞穂）は不在、出てきた康雄の義母でもあり社長夫人で悠蔵の妻・園子（東恵美子）はけんもほろろのあしらいで、挙げ句は石川家の住み込みの青年・周平（三浦洋一）につまみ出されてしまう。怒りに燃えた圭介は、ある日、康雄の帰りを待ち伏せ、ナイフを片手に康雄に襲いかかったが、その場に居合わせた刑事・八坂（織本順吉）に止められて未遂に終わる。八坂は、最近ベストセラーになった「日本国憲法」の本のページを開き、日本国憲法第三一条を読み上げ、「法によらなければ刑罰を科すことはできない」とある。さらに、八坂は「敵討ちはいけませんよ」と圭介に諭す。だが、許せぬ憤りを晴らすには…。一人の女が自殺した。復讐心に燃える父親。今また妹までが標的にされようとしている…。圭介の行動に脅威を感じた石川家では、不良グループを使って洋子を襲わせようと考え、ある日、洋子が工場から帰る途中、洋子は数人の男にマンションに連れ込まれた。そして洋子を襲った。圭介は告訴を決意するが、八坂刑事は「ことが公になる勇気があるのだったら…」と制止とも激励ともつかない忠告をする。圭介は「日本の憲法は、いったい誰を守っているのか！」と叫ぶ。石川家に対して何も出来ない悔しさに圭介と洋子は泣く。その矢先、園子が毒殺された。復讐を阻まれた父は叫ぶ‐その声から、殺人、レイプ、選挙…と とてつもなく大きな波紋が生まれていった。その後、事件は意外な展開に…。憲法（第13条・第14条・第24条・第31条）がサスペンスになった大異色作。さらに、学校給食法や憲法より早くできたRAA（国家売春組織）設置法も出てくるので興味津々に見れる作品でもある。この作品の本番組の裏番組にあたるテレビ朝日の長時間ドラマ番組「土曜ワイド劇場」で、この作品に出演された結城しのぶがこの作品と同じ日の同じ時間の放送の土ワイ作品にも出演されている。【この項、文：春夏秋冬】」台本掲載の参考文献：「日本国憲法」、「進駐軍慰安作戦」（著：鏑木　清一）、「国家売春命令物語」（共著：小林大治郎、村瀬　　明）、「百億円の売春市場」（著：橋本 　嘉夫）、「敗者の贈物」（著：長谷川正安）、「憲法現代史」（著：長谷川正安）。【役名（演技者）】左右田洋子（田中好子）、左右田圭介（岩井半四郎）、伊藤周平（三浦洋一）、石川康雄（西田健）、石川久美子（結城しのぶ）、八坂刑事（織本順吉）。【データ協力：春夏秋冬】【参考文献：ツイッターアカウント「森山龍二 (@Moriyama_Ryuji）氏のツイート（2020/10/16参照、https://twitter.com/Moriyama_Ryuji/status/1315972327142645765）】