タイトルが示すように舞台は縁切り寺として名高い鎌倉松ヶ丘の東慶寺。時代を江戸後期に設定、脚本・泊里仁美が史料を駆使し、それにフィクションを加えて書き下ろした男と女の愛憎物語である。ヒロイン、みずほ（根本律子）は江戸・駿河町の書物問屋淡島屋の一人娘である。父、将之介（中山仁）は縁切り寺物語の出版を思い立ち、みずほと戯作者、津川守光（中島久之）を伴って東慶寺を訪れる。そこでみずほが見たのは女の怨念のすさまじさと、弱い女の立場に立つ縁切り寺の裁き方だった。江戸に戻って、みずほに縁談が持ち上がる。相手は同業の大和屋文造（大門正明）。特異な舞台を背景にヒロインの半生記が、テレビ小説ならではの明るいタッチでつづられる。テンポも快調。【以上、毎日新聞1982/04/04付より引用】根本律子は本作のヒロインオーディションで合格してデビュー。メインライターだった泊里仁美は執筆に行き詰まり途中降板（1983/05/04に入水自殺）。