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ドラマ 詳細データ後妻入門

脚本の西条道彦氏は後年、本作の執筆時のエピソードを自著で記している。「私より一回り年長の河野和平ディレクター(日テレ)はエノケン劇団出身で、私に人情喜劇をたたきこんでくださったお一人である。平素は温厚で物腰もやわらかいが、カッとなるとこんなに激しい人はなかった。「こことここをこんな風に直してください。明朝印刷屋をとりに行かせますから」と、鉛筆でたくさん注文を書き込んだ準備稿(印刷台本)をわたされ、家へ帰って一晩徹夜で考えたが、どうしても直す気にならなかった。どこもここも直せない。『後妻入門』(1968年6月8日)――その後何本も一緒に仕事をすることになった池内淳子さんと加東大介さんの主演作品で、ノッて書いただけに大事にしたいという思いが強かった。だから翌朝、私は自分がもっていたほうの、何の書込みもない準備稿を(決定稿とするため)印刷屋にわたしてしまった。昼すぎに電話でたたき起こされた。河野さんは興奮して大変な剣幕だった。「西条さん、あんたっていう人は何ていう人ですか。ちっとも直ってないじゃないですか。今池袋(私が住んでいる)まで来ています。これからお宅へ行きます」「いえ、こられても直す気はありません。朝まで考えたけど、そのままのほうが絶対いいと思います」「何だって!?」こまかい会話は忘れたが、河野さんは家へはいらっしゃらなかった。寝起きのわるい私も腹をたてていた。直すぐらいならボツにされてもいい、もうあの人からの注文はこなくてもいいと思った。本心ではない。ねぼけていた。カッとなってわれを忘れていたのだ。目がさめるにつれて、とんでもないことをしてしまったという後悔に包まれはじめた。せっかくかじりついたばかりの日本テレビという仕事の場をうしなうのだ。致命的なことだった。放送を見ると、ドラマは脚本の通りにつくられていた。わらいながらテレビを見ている両親のうしろで、私はそのことに満足しながらも、絶望感にうちひしがれていた。もう河野さんはもちろん、日本テレビからの仕事はこないと覚悟していた。ところがその放送の直後、河野さんが電話をくださった。文句をいわれる。いわれてもしかたないと思った。「実は日産(スター劇場)が連続物になることになりましてね、しかも来月はじめスタートという急な話なんですが、その第一発を松原智恵子と山口崇で私がやることになったんですよ。青春ホームドラマにしたいんです。男女の結婚における家つきカーつきババぬきの問題に焦点をおきながらカラッと明るく仕上げたいと思いましてね、タイトルも『はじめまして』っていうのを考えたんですがいかがなもんでしょう」大変な早口である。『後妻入門』は、入門どころかとっくに卒業して裏門のかなたへ吹っとばし、すっかり次の作品にのめりこんで燃えておられた。【この項、西条道彦著「TVドラマはこう書く!」(1998年、映人社刊)より引用】」
キー局 NTV 放送曜日 放送期間 1968/06/08~1968/06/08
放送時間 21:30-22:30 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 日産スター劇場
主な出演 池内 淳子加東 大介吉村 実子菅原 謙二菅原 謙次)、逗子とんぼ小杉 公子曽我迺家一二三西尾  徳岡本ちか子
主な脚本 西条 道彦
主な演出 河野 和平
原作 丸川賀世子「許せぬ女」
局系列 NNN

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