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季節はずれの風が運ぶ

 
 今クールはいつになく気に入った作品が多いです。久々に連続ドラマをたくさん楽しんで見てますね。ここしばらくはある程度義務で見ていることも少なくありませんでしたからね。

 珍しく1ヶ月経過したこの段階でのピックアップレビューもどきを適当な文章で書きなぐってみますね。乱文ご容赦ください。

 今クールはとりわけフジと日テレがいい感じです。
 まずフジ。
 『不機嫌なジーン』は「月9である」というブランドイメージによる呪縛を感じさせない作り手の気負わない感覚が心地よくないですか。僕がこのドラマの良さに気づいたのは、ひとことで言えば、「ながら視聴」させない力が画面にある、ということなんです。画面に惹きつけられるものがあるんですよ、意外と。他の用事をしていてもついつい画面に目がいくのですね。その力の源泉は突拍子もないアニメーションだったりするんですけどそれでもそういう力があるのは素晴らしいことじゃないかな。細かいところでは画面転換の切れ味がいいですね。カットとカットをつなぐところの感覚が洗練されています。いま、「感覚」という言葉を使っちゃいましたけど総じてドラマの流れは「感覚的に」つなげられています。登場人物はみな、小理屈をこね回していますが作品自体の描かれ方が感覚的なのでうまいぐらいに融和しているのです。このあたりはキチンと計算されている「はず」です。
 で、さらにもう少し「感覚的に」申し上げますと(笑)、作品全体に、恋愛が終わった後、私的に「一つの時代の終わり」を感じる、ほのかな寂しさというものがなんとなく登場人物の心情として画面から伝わってくるんですよね。挿入歌の「ラブ・コンチェルト」、そして前回の例のビニールハウスの中で流れるバッハ (実際にはペツォルトの作らしいですが)の「メヌエット」。そこで同じ顔した三人のヒロインが話し合う場面。あの部分だけみると、ちょっとだけ名作の香りすら漂ってしまってクラッと来てしまいましたよ。やばいやばい〜。

 『救命病棟24時』も見ていて力が入ります。いい出来映えだと思います。登場人物たちの視点だけから地震を描いているため、地震被害の全貌が判らず、そのことがかえって空恐ろしさを伝えてくれています。今のところ中村トオルがヘリを持ってくるあたりまでがこのドラマのハイライトだったかな。あのヘリを持ってくる場面は理屈を超えてちょっとジーンと来てしまったんですがこの掲示板を見る限りどうも少数派みたいですね。
 そのあとはちょっとドラマ自体の山が下がっているような気がしますがそれはそれで作り手の計算どおりなのかも知れません。これも今後が気になります。

 『優しい時間』は視聴している間、すごく幸福な時間を味わえます。相手を気遣う人々の気持ちの優しさがゆったりとした展開の中でじわ〜っとこっちに伝わってくるところがあります。北海道にはこういう妙にゆったりとしたコーヒーショップがありますよね。実際にそこに行ったような気持ちになれます。前回は宮本理江子の演出。ご存知のとおり山田太一氏の娘さんですけど、倉本脚本に負けないよう健闘されてましたよね。それまでの回よりちょっとテイストが軽めだったけどね。

 さてフジは以上ですね。こういう三者三様の魅力あるドラマを同時にリリースされるとどうしてもフジのドラマ作りにおける層の厚さを感じてしまいます。

 さて次は日テレの『87%』。これもぐいぐいとひきつけられません?どうも日テレにはカネボウヒューマンスペシャル以来、この方面でじわ〜っとした蓄積があるんじゃないかな。そう感じさせる出来映えでしょ。描かれている内容のバックグランドに漂う重みが違いますね。
 とりわけ前回、おっ、やるな、と思ったのは渡辺いっけい演じる生命保険営業所長の描き方。ひどく仕事第一主義の人間に描かれているように見えたのに終わりのところで、院長の橋爪功に違う見方を語らせているでしょ。ああいう物事の価値観を多面的に見る視点を入れるとドラマ自体が重層的なものに感じられますね。そういう一面的でない価値観がちゃんと作品の中にうまく描き混まれているところも評価しておきたいな、と思っています。

 いや〜それにしてもこれだけ豊作のクールはしばらくなかったですね。これ以外でも『大河ドラマ/義経』もいい出だしですよね。

 いや〜僕は幸せです(笑)

(初出:2005/02/05 13:07:09、web「テレビドラマデータベース」新作掲示板)


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