東洋医大付属病院の外科部長・大河原則世（池部良）は、肺外科手術の大家として名の通った男である。家族は妻の優子（福田公子）、娘の加代子（水原ゆかり）のふたり。病院の仕事に追われる大河原は、妻は娘にとってよき夫よき父親というわけにはいかなかったが、一家はまず波風のない平凡な毎日を送っていた。ところが、妻優子がある日突然謎の失踪をした。優子は大河原の大先輩・高崎博士（中村伸郎）の姪だったが、そもそもふたりが結ばれたきっかけは互いの愛からではなく、東洋医大での高崎閥を確立するための政治的な動機からだった。優子行方不明の報を受けた高崎博士は、大河原に向かい、この件につき関係当局や新聞雑誌にはあくまでも口を閉ざすことを命じた。しかも博士は続けて、大河原のまな弟子・宇田（佐竹明夫）が次の学会で発表する論文を彼の手で差し止めるようにも命令した。【以上、読売新聞1964/01/13付より引用】一部資料では、放送回数全２回と記載されているが誤り。【役名（演技者）】大河原則世（池部良）、優子（福田公子）、加代子（水原ゆかり）、高崎史郎（中村伸郎）、邦子（吉川満子）、瀬内川利明（信欣三）、宇田俊吉（佐竹明夫）、中沢（花沢徳衛）。