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ドラマ 詳細データそんなとき私は(そんな時私は)

同じ夜間学校に通う3つの家庭のお話。「残念なことに、円谷一が精魂を傾けたこの良心的な番組は、定時制高校という少数派の世界を描いたためか、多くの視聴者の共感を呼ぶことはなく、10か月で終了する。だが、『そんなとき私は』は「夜間高校生の実態を描いた非常に真面目な、演出的にも高度なドラマ」と高く評価され、同じ『花王ファミリー劇場』枠の新番組『純愛シリーズ』を生み出すのである。【この項、白石雅彦氏著「円谷一 ウルトラQと「テレビ映画」の時代」(2006年双葉社刊)より引用】」監督の円谷一は2年後にドラマ『煙の王様』で芸術祭賞を受賞するが、その受賞時に本作のことを振り返っている。「ミチヨちゃんとカヨちゃん、この二人は阿佐谷聖友ホームにいる孤児である。黒人との混血ではあるが日本人だ。まもなく二人は大きくなったのでホームを出てゆかなければならない。私はかつて、定時制高校生をあつかったドラマ『そんな時私は』を十ヶ月続けたことがある。そのドラマの中で、ミチヨちゃんとカヨちゃんは毎回、ドラマのブロローグとエピローグに登場していた。二人とも芝居には全然興味を示さなかったが、彼女達の日常生活や二人の希望する所に連れて行って、愉快そうに遊んでいる姿を撮影している内に、彼女達の方も我々のやっているドラマの内容に興味を持ち始めてくれた。いつの間にか、私達スタッフの方も彼女達に会える日を心待ちにするようになった。学校が休みの日は、ゆっくりとスタッフと遊んだりもした。だが連れ立って外に出ると無遠慮に〝あッ! くろん坊だ!〟と云う子供達の言葉や、よごれたものでも見る様な大人の眼に、私達の心は痛かった。けど彼女達は、そんな言葉や眼を無視して、まるで天真爛漫に遊んでくれた。いつの間にか、近所の子供達の間で彼女達は人気者になっていたし、僕達もテレビに出してよと進んでミチヨちゃんカヨちゃんと出演することを申出てくれた。この子達の協力的な態度は一層、撮影効果を倍加させてくれたことは云うまでもない。番組がスタートして十ヶ月経つと、視聴率が大変低いために企画を変更しなければならなくなった。十ヶ月の間、全国の高校生から、お手伝いさんから、恵まれぬ人々からいただいた手紙は、どれもスタッフを感激させるものばかりであった。低視聴率でも、この手紙の支えがあったからこそ、我々は、より一層良い作品へと努力が出来たわけである。私が芸術祭で受賞して頂いた手紙の中に次の様なものがあった。〝私は二年前『そんなとき私は』の番組を見て勇気づけられ生活苦でついに中退をしたが、今、新潟の運送店でトラックの運転手として働いている。先日煙の王様を見て、演出が、貴男であったのを、なつかしく思った。あの頃ともすれば、くじけそうになる私をはげまし続けてくれた『そんなとき私は』のドラマが今でも心の隅に強く焼付いている。あの中に出ていた混血の孤児は今頃どうしていますか。僕と歳はいくつも違わない、あの二人の姿が、画面に現れると、不平や不満にみちみちていた定時制時代の私がハッとしたものだ。彼女達よりも僕は幸福だとかんじたのだ。その番組も姿を消し彼女達も画面から消えていった。機会があったら又あの様な作品を作ってほしい。今でも定時制の中に当時の僕の境遇に似た者は一杯いるからだ〟と云うものである。ミチヨちゃんもカヨちゃんも大きくなり、今までのようにホームの中での生活から実社会へと出されるわけであるが、彼女達に対して偏見や無遠慮な冷笑の眼はさけて、温かく見守ってほしい。暗い現実の中で懸命に働いている庶民は多い。僕達の作るドラマが彼等と共に発展し、幾分かでも解決への糸口になってくれることは、大変嬉しいことである。茶の間と私達が結びつくことこそテレビの持つ有意義な使命を有効にいかせることである。私は新しい年にむかって私達を育ててくれた視聴者に、立派なドラマをいつまでも作り続けて行きたいものである。【この項、文:円谷一氏(「ドラマ」(雑誌、ソノレコード出版部刊)1963年2月号より引用)】」樋口祐三の演出デビュー作。提供:花王石鹸。【参考資料:書籍「劇団ひまわり30周年史」(1981/09/22発行、発行所:株式会社劇団ひまわり)】
キー局 KR 放送曜日 放送期間 1960/10/04~1961/06/27
放送時間 19:00-19:30 放送回数 連続/単発 連続
番組名 花王ファミリー劇場
主な出演 森  光子(1)、和泉 雅子(1)、殿山 泰司(1)、矢代 和雄(1)、宝  幸子谷口美知代加藤  嘉細川 俊夫阿里 道子一の宮あつ子一の宮敦子一宮あつ子)、三島  謙(1)、七尾 伶子(1)、鈴木 光枝出田 喜芳坪井 真理
主な脚本 長谷部慶次長谷部慶治)、光畑 硯郎光畑 碩郎光畑 磧郎)(12)(18)(21)、樋口 祐三(クレジット表示なし)、堀江 史朗
主な演出 円谷  一(35)、樋口 祐三、(演出補:樋口 祐三満田かずほ(クレジット表示では、「かずほ」は「禾」ヘンに「斉」))(演出助手:村木 良彦
原作 (原案・五所平之助
局系列 JNN
制作会社 KR
企画 五所平之助堀江 史朗長谷部慶次
音楽 渡辺 岳夫

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