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ドラマ 詳細データ再会

最近は脚色台本が多いためか、オリジナルものに秀作が見当たらなかった。多少技術的な面で不備な面があり、また失敗作に終わったとしても実験的な意欲にみちたものであるならば、オリジナル作品の方を私は歓迎する。そんな意味で今月は『再会』を採りあげてみた。天涯孤独な女が、貧しい画学生と純粋な愛情を交流し合うことによって生きがいを感じている。やがてその恋人は交通事故で他界してしまうが、女の心の中には恋人のイメージが鮮明にあり、彼女にとっては過去の想出のみが現実である。ある日恋人によく似た画学生に出逢った彼女は、常に自分のイメージの世界に住んでいる恋人との再会を彼によって現実に再現しようと試みるが、男の欲望によってその夢は無残に打ち砕かれる。この作品は明らかに失敗作であるが、単なるリアリズムの領域に安住している作者の多い昨今であるだけに、即現実性に頼らずに内面性を追求しようとした作者の努力は認めたい。失敗の第一の原因は、作者の描こうとした対象の世界が多少曖昧模糊としており、そのために視聴者は作者が何を語ろうとしているのかが十分理解できなかった点にある。秀れた作品の多くは、ドラマの進展にともない、視聴者の側に追体験、あるいは感情移入といった働きかけが行われるものである。そのドラマが持つ個有な世界の中に視聴者を誘う。その力の強弱の度合いが作品の良し悪しをある程度決定するものである。そうした力量がこの作品には非常に稀薄であった。視聴者をおきざりにして作家のみが独走してしまった感があった。わずか数分でも視聴者の気持とドラマの間に断絶の時間があったのでは、その作品は成功したとはいえない。しかし繁雑なストーリー構成もなく、また不必要なセリフも使われていず、純粋な恋愛感情を主要なモチーフにした内面劇として終始詩的雰囲気が感じられた。いわゆるメロドラマの感傷性や日常性といったものとは無縁であり、リアリズムを排除して愛情の世界を抽象的に描こうとしている。その試みは面白いが、リアリズムに全く馴れきっている視聴者を納得させるには作品の背後により豊かな精神面の裏付がなければ無意味である。愛し合っている若い男女が事故死という全く偶然の悪戯によって引き裂かれていく不条理性を描くには、余りにも作者の態度が安易すぎたようだ。愛と死に対する女の感情を説明的に描くのではなく、もっと感覚に訴えるような直接的な表現方法が望ましかった。フォーカスの効果やカメラのアングルを変えたいろいろな工夫が面白かった。【以上、文:牧原美穂子氏(「テレビドラマ」(現代芸術協会刊)1960年7月号より引用)】【データ協力:のよりん】【参考文献:石井ふく子著「お蔭さまで」(1993/06/20、世界文化社刊)】
キー局 KR 放送曜日 放送期間 1960/06/05~1960/06/05
放送時間 21:45-22:45 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 東芝日曜劇場(第184回)
主な出演 香川 京子安井 昌二吉川 満子磯野 秋雄阪口美奈子鶴丸 睦彦田中 筆子義那 道夫熊倉 一雄西沢 和子阪田美奈子山本  学山本  學)、宗近 晴見、(語り:永井 智雄
主な脚本 (作:八住 利雄
主なプロデューサ 石井ふく子
主な演出 石川  甫鴨下 信一
局系列 JNN
制作会社 KR
音楽 別宮 貞雄、(AUDIO:小林 正明)(効果:蒔田 尚晃桜井 清史
撮影技術 (技術:吉本 琢也)(照明:加藤 静夫岩渕 輝夫岡部 修也
美術 (装置:小林 雍夫)(美術進行:森本班)(化粧:小松 英子)(衣裳:山我 幸江

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