アムステルダムでゴッホの絵を見学することになった山下清。しかし、マスコミがうるさいので、大場は案内してくれる地元の美術商・直井に清の正体を明かさないようにしてくれるように依頼する。大場がロンドンの学会に出席する間、清は直井に連れられて、ゴッホの絵を所蔵するヨリコ・ワーテルマンという女性実業家に会いに行く。彼女は亡き夫の跡を継いで会社経営を行なっている日本人女性だった。しかし、彼女は、なぜだか日本人が嫌いで、絵を見せてくれない。直井が交渉している間に、直井の助手である〔マツクマ〕は、仲間のオランダ人男性から受け取った蝋の塊を清に渡し、建物のドアの鍵の型を取らせたり、何だか行状が怪しい。その後、〔マツクマ〕は清を連れ出し、風車小屋に軟禁してしまう。その夜、型から作った合鍵でヨリコの屋敷から“聖家族”の絵を盗み出した〔マツクマ〕は、その絵を清のリュックの中に隠す。翌朝、目覚めた清は風車小屋を抜け出し、世界各国の有名な建造物のミニチュアが展示されている施設・マドローダムを見学する。直井はホテルに戻って来なかった清を探すうち、その清が絵を盗んだ犯人にされていることを知るが、清の正体を明かせないまま、捜索を続ける。マドローダムの館長たちの目撃情報から、清は戻った風車小屋で保護される。〔マツクマ〕が病気で九州にいる母親に会いに行きたいがために金を工面しようとしたことを知っている清は、自分が絵を盗んだ犯人だとヨリコに嘘を付く。戦後、孤児として満州から引き揚げて来たヨリコは、親戚の家で知り合った男性と結婚しようとしたが、周りからの反対に遭い、その結婚を諦めたという過去があった。また、ワーテルマンの財産を引き継いだ時、多くの日本人が財産目当てに現われたため、日本人を信用しなくなったのだそうだ。しかし、〔マツクマ〕を庇う清の純粋な姿に打たれたヨリコは、清にゴッホの絵を見せてくれて、また〔マツクマ〕が改心するならということで、訴えを取り下げてくれることに。…ロンドンから戻って来た大場が清を引き取り、帰国しようとするが、そこでヨリコや〔マツクマ〕は、直井から清が放浪の天才画家・山下清であることを知らされ驚くのだった。【以上、文：市村】衣裳協力：IMZIMMERCO.,LTD.。ロケーション協力：オランダ航空、ゴールデンチューリップ　バルビゾンセンターホテル（アムステルダム・ラィツンプレーン）、マドローダム。【演技者…役名】「●芦屋雁之助…山下清（放浪の天才画家）、●多岐川裕美…ヨリコ・ワーテルマン（ワーテルマン夫人。アムステルダム在住の女性実業家。オランダ人に嫁いだ日本人女性の未亡人）、●花上晃…直井（美術商。アムステルダム在住の大場の知人）、●ヤン・ヴラウェルス…〔マツクマ〕の仲間であるオランダ人男性？、●左とん平…〔マツクマ〕（直井の助手）、●中条静夫…大場（山下清の知人である心理学の教授）。【この項、文：市村】」【データ協力：市村】