太平洋戦争末期の青年たちとその家族を描いた、吉永小百合主演のスペシャルドラマ。かつての陸軍報道班員・高木俊朗氏が、自らの見聞を基に記した著書「特攻基地・知覧」「陸軍特別攻撃隊」を土台に、木下惠介が書き下ろした意欲作。鹿児島県の知覧飛行場を舞台に、惜しくも青春を散らした陸軍特攻隊員と残された妻や家族たちの姿を描いた慟哭の記録。主役となるのは戦争の犠牲として人知れず散り平和の礎となった「庶民」。世界にも類をみない「特攻隊」という存在を通して、改めて「日本人とは何か」「青春とは何か」を問いかける。木下惠介独特の筆致・構成力に加え、三浦友和ら豪華キャスト、そして当時を生々しく再現するオープンセットと特撮。とりわけ実物大の戦闘機６機とラジコン操作の戦闘機が登場するのも見どころ。自力走行可能な隼と九七式戦闘機が砂煙をあげて実際に滑走するシーンは圧巻。ドラマの過程は原作者をモデルにした高田報道班員（石坂浩二）のナレーションによって進められる。戦局が逼迫した1944年（昭和19年）、「特攻」は大日本帝国の画期的な新戦法として生まれた。新戦法とは、一機一艦必中、つまり爆弾投下に替えて飛行機での体当たりのことだった。特攻基地・知覧には「富屋」と「永久」という二軒の旅館があり、それぞれの女将、鳥濱とめ（渡辺美佐子）と吉沢アイ（吉永小百合）が、出撃を前にした隊員たちの面倒を見ている。そこには山上少尉（勝野洋）と川西少尉（三浦友和）の姿もあった。富屋にいる川西の元に妻・静子（竹下景子）が訪れるモンペ姿で髪は乱れ、顔も汚れた静子を川西は思わず抱きしめた。二人は親の反対を押し切って一緒になった仲で、静子はまだ籍を入れていない。そして出撃の朝、静子はハンカチを振って夫を見送ったが…。【以上、TBSチャンネル広報資料より引用】太平洋戦争末期、特攻隊員として若き生命を散らしていった若者と、その家族・隣人たちの悲哀を描く。撮影のため3000万円を投じ隼２機、九七式戦闘機４機の計六機を作ったという。協力：本田航空、南日本放送。資料提供：NHKライブラリー、毎日新聞社。