• 水色
  • 緑
  • 紫
  • オレンジ
  • 赤
  • 小
  • 中
  • 大

ドラマ 詳細データ劇画シリーズ 紅い花 つげ義春の作品から

第31回芸術祭大賞受賞作品。1977年のエミー賞でフィクション部門のファイナリスト(優秀作品賞)の5作品の一つに選ばれた。東京大空襲の時、川で行方不明になった妹(沢井桃子)一人に力点を置き、その姿が点々と、ある時は、山の中の茶やに、別の時は古本やの娘にといった型であらわれる(鳥山拡「シナリオ」76/05より引用)「〈過去〉とは、人が現実とかかわるとき、必ず姿を現すものという意味で〈現在〉の別称にほかならない。自分の少年時の体験を一貫して、そうした〈現在〉として描いてきた演出家、佐々木昭一郎が、今度はつげ義春の劇画を素材にして、その独自な世界を開示する。最近のテレビドラマに例を見ない、特異な秀作ということができる。ここで扱われるのは、主人公である劇画家の〈私〉(草野大悟)の幻想世界だ。〈私〉は「東京大空襲の折、炎の川で手を放してしまった妹」を求めて、谷川や沼のほとりや下町をさまよう。が、どこで行こうと、時は〈私〉が性に目覚めかけた戦時中であり、遭遇するのは必ず〈死〉と、妹とおぼしい少女(沢井桃子)の〈凌辱〉や〈失恋〉である。それらはすべて「ズキンとした」痛みを伴った。花や初潮や炎などの真っ赤なイメージとして現れる。この像はきわめて正確で、現実そのもののように鮮やかである。濃密な〈死〉と〈性〉の像――これらは戦時下に少年期を過ごした〈私〉の〈生〉そのものの姿にほかならない。〈性〉が〈生〉と重なる薄明のその時、〈私〉は何者かの強圧によって、正常な〈性〉(関係意識)への道を阻害されたのだ。妹はこの場合、失われた〈私〉の象徴である。佐々木の演出は周到・強じんで最後まで破綻を見せない。その最後に出てくる川の移動シーンも、演出者の心のカタルシスを伝えて感動的である。つげの「沼」「紅い花」などを大野靖子が脚色。【この項、毎日新聞テレビ欄「視聴室」より引用(署名:地)】」。つげ義春の67年~68年の主要作品(「紅い花」「ねじ式」「ゲンセンカン主人」「もっきり屋の少女」)の象徴的場面をちりばめながら、独自のエピソードを盛り込んで、作品に奥行きを持たせた。キクチサヨコ役の沢井桃子の木訥な演技が不思議な魅力を生んでいる。データの内、撮影・助監督については月刊「ドラマ」1998年5月号より引用したもので画面表示はない。【参考文献:小林由紀子著「ドラマを愛した女のドラマ」(1995/11/06、草思社刊)】
キー局 NHK 放送曜日 放送期間 1976/04/03~1976/04/03
放送時間 20:00-21:10 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 土曜ドラマ
主な出演 (ひとびと:草野 大悟沢井 桃子渡部 克浩嵐 寛寿郎樋浦  勉小島 三児宝生あや子藤原 釜足加藤真知子長澄  修清水 紘治北見 治一広瀬 昌助奥村 公延松田  章椎谷 建治石光  豊西村 克己遠藤  治美濃部 厚加藤 弘二渡会 洋幸喜福 和則松田芽久美
主な脚本 大野 靖子
主な演出 佐々木昭一郎、(助監督・富沢 正之富沢 正幸富澤 正幸))(クレジット表示なし)、中村 克史(クレジット表示なし))
原作 つげ 義春の作品から
局系列 NHK
制作会社 NHK
制作 近藤  晋、(制作助手:岡本由紀子(小林由紀子)(クレジット表示なし))
音楽 池辺晋一郎
撮影技術 (技術・森野 文治)(撮影・当麻 利夫当麻 利男)(クレジット表示なし)、上原 康雄(クレジット表示なし)、橋本 和憲(クレジット表示なし)、高野 後博(クレジット表示なし))
美術 稲葉 寿一

Tag Cloud

つげ義春の作品か... 沢井桃子 ほかなる 大野靖子 つげ義春 紅い 空襲 引用 関係意識 強圧 フィクション部門 つげ 最後 鳥山拡 ファイナリスト 放す 一貫 ちりばめる 少年期 少女 佐々木昭一郎 谷川 東京 重なる あらわれる 作品 池辺晋一郎 失恋 近藤晋 目覚める

リンクパーツ

直リンク用URL ヘルプ
引用パーツ ヘルプ


インフォメーション

クチコミ

ユーザレビュー

ドラマデータ提供