東京の吉祥寺にある歯科医院で、男の絞殺死体が発見された。被害者は同医院院長の坂上秀明（須藤正裕）。同院は、藤倉デンタルクリニックグループの１つで、坂上は最近、懇意にしている商社社長・浜尾克美（塩野谷正幸）の協力で、独立を画策していたことが判明。捜査陣は、藤倉グループの理事長で、事件発生直後、現場から姿を消した藤倉功（清水昭博）を重要参考人として手配し、その行方を追った。そんな中、現場の法歯学関係の資料を調べた所轄の刑事・近藤美香子（渡辺梓）は、少し前に八王子で発見された白骨死体のものだけがないことに気付いた。八王子西署の発表によると、死因は絞殺で被害者は40歳前後の女性、事件は２程年前に発生したとみられた。八王子西署は、歯の治療に関する資料を関東一円の歯科医に送付したが、結局、身元不明のままであった。美香子は、この被害者が坂上の治療を受けたと推理。カルテを検索し調査した結果、橋本綾子という東北出身の女に着目した。そして、歯科医師会東北支部からの連絡で、八王子の被害者が橋本綾子本人だと確認した。部下の若松刑事（榊原利彦）、八王子西署の和泉刑事（六平直政）と共に綾子の出身地・宮城県石巻市を訪ねた美香子は、思わぬ事実に遭遇した。20年前、夫の暴力に耐えきれなくなった綾子は、沢田という男と駆け落ちしようとして見つかり、夫を殺害していた。綾子は単独犯行を主張したが、警察は夫の貯金800万円が消えていたことから、沢田を手配。しかし。沢田は捕まらず、結局、綾子の単独犯行ということで決着していた。美香子らは、綾子の唯一の家族、異父妹の北野尚美（大沢逸美）に会うが、尚美は綾子から被った苦労を話すだけで、収穫なし。美香子らの捜査は完全に行き詰まった。だが、事件解決の糸口は、思わぬ所にあった。刑務所を出所後、綾子が働いていたスナックの関係者の話から、綾子がある雑誌を見て以来、急に店に来なくなったと確認。その雑誌を調べた美香子らは、なんと坂上に肩入れしていた浜尾の顔写真を発見したのだ。調査の結果、浜尾は綾子の夫が殺された直後、300万近くあった借金を完済し、渡米している。浜尾こそ「沢田」だと見た美香子は、さっそくその会社を訪ねて事情聴取。だが、浜尾は綾子とは面識がないと言い張った。そんな折、美香子は、尚美に見せてもらった綾子の宝石箱の中に思わぬモノを発見して─。撮影協力：宮城県石巻市、石巻グランドホテル、自由通り歯科、堤歯科クリニック、テクノウェイブ100、日産スポーツプラザ。