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ドラマ 詳細データ着ながし奉行 悪徳の巣にいどむ一匹侍(誤り…着流し奉行)

三河国・西尾藩は、腐敗政治のため町奉行が一年に3人も交代する混乱ぶり。江戸にいる領主の和泉守は、「着ながし奉行」の異名を持つ望月小平太(仲代達矢)を奉行として送り込んだ。小平太は奉行所には行かず、独特の探索法で腐敗政治の元凶に迫っていく。大橋吾郎のデビュー作。脚本を書いた松島利昭が執筆経緯を語っている。「暮れに郷里へ帰ろうとしていた矢先、監督のところからこの仕事の話がとび込んで来た。ちょうど一年ぶりぐらいである。門弟の端くれとしては一緒に仕事できるのは嬉しいし、勉強にもなるのだが、何やら虎の尾を踏む心地してといった畏怖の念も、そぞろ鎌首をもたげてくるのである。シノプシスの段階から「映画のつもりで書くんだよ」と何度も繰り返し言われた。もとよりこちらもそのつもりではあったが、僕の第一稿を叩き台に書き上げた監督の脚本(ホン)を読むと、言われていたことの意味が全く判っちゃいなかったことに気づき、愕然となった。『どうだ、俺のほうがまだ若いだろ?』と監督は僧体にうそぶき、不敵な笑みを洩らすのである。一言もない。せめてもの救いは、原作にないオリジナルの人物、おたまのキャラクターを監督が気に入り、採用してくれたことである。わが師はまだゴツゴツした山のように僕の前に聳え立っている。末尾ながらタイトルの件だが、僕は多少悪ノリ気味に『登庁拒否奉行』という案を出した。勿論、却下されたが、僕はまだ愛着が残っている。【この項、文:松島利昭氏(映人社刊「月刊ドラマ」1981/05月号より引用)】」本作は撮影も大変だったという。長年映像京都で美術を手がけた西岡善信氏が後年、ペリー荻野氏からの取材に著書で語っている。「岡本喜八監督「時代劇スペシャル 着流し奉行」は、開始早々から大もめであった。「まず、脚本も監督が担当したんですが、久しぶりの長編ということではりきって、書いてみたら、それは丸々映画のシナリオと同様の書き方なんです。みんなの思いが膨らんでいるのは、僕にもわかった。でも、正直言って、映画なら億単位でお金が動くけど、テレビは1桁違う。たとえば、「群衆」とあっても、映画なら150人出せるけど、テレビではせいぜい50人が限界やとか。監督のギャラも映画並みとはいきません。いろいろと制約もあるし、自由にならんことも多い。そこをわかってもらうのが難儀でした」大映倒産で仲間を引っ張って、映画からテレビにシフトした経験のある西岡さんは、そのあたりの苦労を一番よく知っている人である。「僕らは『紋次郎』38本やって、テレビとはこの枠内で作るもんやというのが身にしみてる。予算内で収めるために、どこを圧縮したがええか、工夫のしどころはどこやとか、わかってるんです。でも、岡本監督にしたら、フタをあけてみたら、これはできません、それは無理です、という話ばかりで頭にくる。本来はそこを納得してもらわなテレビは出来ないんですけど、監督と制作サイドがうまくいかなくて、ひどくもめて」ついには「俺は降りる!!」と宣言した監督の自宅玄関で、関係者が何人も土下座したという伝説を作ることになってしまった。「この話を進めていたプロデューサーのひとりと相性の問題もありました。その人は女優さんをきれいに撮るドラマで知られた人や。一方、岡本監督は、喜劇的な男っぽい作品を撮る監督ですからね。もともと求めているものが違ったんです」岡本監督は、西岡さんが、「ぶつかる専門家」と評するように、現場でもめることの多い〝喧嘩監督〟だったという。会社のいいなりになる助監督を「あいつらみんな御用提灯や。みんな声だけ御用御用と言うてて、肝心なときにはパッと逃げてく」。毒舌もなかなか。(中略)最後の最後、岡本監督を納得させたのは、西岡さんだった。「岡本さんとは、なぜか初対面から気が合うてね。僕の作ったセットを気に入って、『デザインが非常に大胆で、コンテどおりに仕上げてくれてる。西岡さんはどこで勉強したんですか』なんて尋ねられた。どこでも何も、大映の現場です、と応えると、しきりに感心してね。それで突然「年はいくつ?」と聞くのでふたつ上やと応えると、『やったー!僕より上や、先輩や』って喜ぶんです。自分より若い人に食われるのは嫌やけど、年上の人の技術がすごいというのは仕方ない、素直に認められるからうれしいって。こどもみたいや(笑)」無邪気にして頑固。不思議なユーモアを持ち合わせた岡本監督の「着ながし奉行」は、仲代達矢の熱演、立ち回りが光る一方、草野大悟、天本英世ら個性派俳優が、とぼけた味を見せた贅沢なスペシャルとなった。【この項、西岡善信著、ペリー荻野構成「紋次郎も鬼平も犬神家もこうしてできた」(2008/08/25、日本放送出版協会刊)より引用】」【出典:ドラマ本体のクレジット表示より採録(採録:古崎康成)】
キー局 CX 放送曜日 放送期間 1981/05/01~1981/05/01
放送時間 20:02-21:48 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 時代劇スペシャル
主な出演 仲代 達矢浅茅 陽子中谷 一郎近藤 洋介神崎  愛岸田  森小沢栄太郎小澤栄太郎)、殿山 泰司岡本富士太草野 大悟今福 正雄今福 将雄)、天本 英世北村 英三役所 広司益岡  徹大橋 泰之大橋 吾郎)、浜田 寅彦堀内 一市中村 錦司永野 辰弥市川男女之助北原 将光疋田 泰盛杣山 久美高野 呂音)、西園寺章雄斉穏寺忠雄斎穏寺忠雄斉隠寺忠雄西園寺 宏)、加茂 雅幹沖 ときお沖  時男)、堀北 幸夫松尾 勝人辻 喬次郎八重垣百合山口 朱実松谷 令子和田かつら倉谷 礼子山村嵯都子
主な脚本 岡本 喜八松島 利昭
主なプロデューサ 香取 雍史梶山 仗祐西岡 善信
主な演出 (監督:岡本 喜八喜八プロ))(助監督:吉田啓一郎)(殺陣:美山 晋八)(記録:野崎八重子
原作 山本周五郎「町奉行日記」より(新潮文庫版
局系列 FNN
制作会社 映像京都、俳優座映画放送、CX
制作 (制作主任:静川 和美)(俳優事務:遠山 一次)
企画 能村 庸一松木 征二
音楽 渡辺 岳夫、(整音:林 土太郎)(音響効果:倉嶋  暢
撮影技術 村井  博、(照明:中岡 源権)(録音:生水 俊行)(編集:阿良木佳弘)(色彩計測:宮島 正弘)(現像:東洋現像所
HP
美術 内藤  昭、(装置:馬場 正男)(装飾:藤谷辰太郎)(美粧:竹村 浩二)(結髪:石井 エミ)(衣裳:京都衣裳)(小道具:高津商会)(かつら:山崎かつら

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