町内のブラスバンドに熱中する未亡人が、一通の手紙がきっかけでやもめのバンドマンと出会う。【以上、「テレビドラマ全史」（東京ニュース通信社刊）より引用】「下町の洋食店「銀河鉄道」のおかみ可津子（浅丘ルリ子）は気さくで陽気な未亡人。義父の鉄平（佐野周二）とともに店を切り盛りしているが、ある日、航空会社に勤める義弟・次郎（原田大二郎）がデンマークから帰り、預かってきた少女の手紙を可津子に見せた。なになに、弟の健ちゃん（伊藤洋一）に会いたい？　そこは人情厚い下町女、手紙を届けにくだんの家を訪ねたら、あら、お父さんはさっき、実家の質店〝えびすや〟に現れたヘンなバンドマン（朝田＝原田芳雄）じゃないの!?　というブロローグの先行きがどうなるのかのセンサクはやめにして、今回の感想を述べると、どうやらこのドラマ、〝軽みのあるペーソス〟とも言うべき味わいをねらっているらしい。大体、ブラスバンドが亡夫の切実な思い出に関係があるのに、それをチラリとしかにおわせないで、可津子に威勢よくトランペットを吹かせるという設定もそうなら、「銀河鉄道」でカレーをガッツきながら、どこかウツボツとした朝田が、やたらとラッキョウのおかわりをする場面もそうだ。結論的に言えば、人間というものがそこにいれば必ず生まれる確執や、怒りや悲痛といった重たい感情を、小道具や素早い転換を駆使してサラリと描く。つまり〝生活のアク抜き〟がこのドラマの身上であり〝軽みのあるペーソス〟の方法である。肩がこらずに楽しめた。【この項、毎日新聞1977/09/24付「視聴室」より引用（署名：地）】」提供・雪印乳業、花王石鹸、日立、パロマ。【各回サブタイトル】第１回「午後のあんちきしょう」（1977/09/24放送）、第２回「はしたなくも私は」（1977/10/01放送）、第３回「或る日突然に」（1977/10/08放送）、第４回「別れ・再会・デンマーク」（1977/10/15放送）、第５回「子連れ男とのさすらい」（1977/10/22放送）、第６回「父さんはボクを捨てた」（1977/10/29放送）、第７回「あなたはやはり他人です」（1977/11/05放送）、第８回「未亡人の異常な立場」（1977/11/12放送）、第９回「三回忌の刺激的な出来事」（1977/11/19放送）、第10回「はじめての甘い夜」（1977/11/26放送）、第11回「嫁の不審な行動」（1977/12/03放送）、第12回「大喧嘩はプロポーズの席で」（1977/12/10放送）、第13回「婚約の日に不吉な電話」（1977/12/17放送）、最終回（第14回）「さよならの明日」。【役名（演技者）】可津子（浅丘ルリ子）、義父・鉄平（佐野周二）、朝田昭吾（原田芳雄）、義弟・次郎（原田大二郎）、朝田 健（伊藤洋一）、警官（金内喜久男）、健の妹・朝田麻里（浅香ルリ子）、麻里の母・朝田弘子（宇津宮雅代）、弘子の妹・かおる（多岐川裕美）、鉄平の妹・松乃（赤木春恵）、可津子の夫の親友・岡野（小坂一也）。【参考資料：雑誌「放送研究と調査」（日本放送出版協会刊）2018年２月号、書籍「日本タレント名鑑'81」（1980/12/30、VIPタイムズ社発行）［下村節子の項］】