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早春スケッチブック

早春スケッチブック>>メインコンテンツ>>今も寄せられる「早春スケッチブック」への反響

魂を揺さぶった山崎努のセリフ 投稿者:五香  投稿日: 1月22日(月)02時14分42秒

 

私が『早春スケッチブック』を見ていたのは、大学受験のまっただ中にいるときでした(単行本の最後のページを見ますと、昭和58年1月7日〜3月25日放送とあります)。前年の大検に合格し、それから始めた受験勉強も佳境に入っており、テレビを見るのは控えていたのですが、このドラマだけは毎週欠かさず見ていました。
鶴見辰吾演じる高校生が自分と同じ受験生で、今の人生に疑問を感じて受験を取りやめてしまうなど、同じような思いを抱えていたことが大きかったと思います。
そこに突然現れた本当の父親(山崎努)が鶴見辰吾に語りかける(ときには浴びせかける)言葉のひとつひとつが、私の心にも、いちいち突き刺さりました。

「ありきたりなことをいうな。お前らは、骨の髄まで、ありきたりだ」
「映画が見たい。一本我慢する。二本我慢する。三本我慢する。四本目に、これだけは見ようと思う。見る。そりゃあんた、見る力がちがう。見たい映画全部見た奴とは、集中力がちがう。(…)そういう力を貯えなきゃあいけない」

引用していくと際限がないのですが、山崎努の魂に響くセリフには多大な影響を受けました。人生観というものにも、大きく作用していると思います。

今から7年ほど前になりますが、ボイス・トレーニングというものに通っていたことがあります。要は、おなかから声を出す練習です。その教室には、演劇を学ぶ人たちも来ていました。そこの生徒たちが年一回、公民館で発表会のようなことをやっていたのですが、素人の私も参加することになりました。朗読でも寸劇でもいいから、何か考えてきなさいと先生に言われたときに、まっさきに頭に浮かんだのは、山崎努のセリフでした。鶴見辰吾の妹に、「好きなものがロックとマンガでもいいの?」と問われて答えたセリフです。

「そうさ。なんだっていいんだ。なにかを好きになって、細かな味も分って来るということは、とても大切なことなんだ。そういうことが、魂を細やかにするんだ。マンガでもロックでも、深く好きになれる人は、他のものも深く好きになれる」
「なにかを好きになり、夢中になるというところまで行けるのは、素晴しい能力なんだ。物や人を深く愛せるというのは誰もが持てるというものじゃない、大切な能力なんだ。努力しなければ持つことの出来ない能力なんだ」

発表会では山崎努になったつもりで、一人芝居でこのセリフを言いました。自分の大好きな言葉を、大きな声で、数は少なかったけれど観客の前で語ることができて、とても嬉しかったのを覚えています。

去年、こちらのサイトで20世紀のベストドラマを決める企画がありましたが、私はこの『早春スケッチブック』をベストドラマに挙げました。今、10代を生きている若い人たちにも、機会があれば、ぜひ見てもらいたいドラマです。

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