テレビドラマデータベース
TVDRAMA-DB.COM


テレビドラマ人名録


テレビドラマ人名録(脚本家)
松原敏春氏

女優 男優 演出家 脚本家 原作者 全文検索

2001/02/11作成
2002/01/05更新

ふりがな まつばら・としはる
本名 松原 敏春(同じ)
生年月日 1947年2月13日
没年月日 2001年2月6日(1時46分)
職業 脚本家、演出家
経歴 慶応義塾大学法学部卒業
主な作品歴 主要テレビドラマ脚本作品

主要舞台劇脚本作品

  • 黄昏れて、途方に暮れて(劇団東京ヴォードヴィルショー)
  • 明日を心の友として(劇団東京ヴォードヴィルショー)
  • 春は爛漫
  • 花も嵐も
関連ホームページ

 

 

 松原敏春氏は1947年、岐阜市生まれ。慶応大学在学中、バラエティー番組「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」(1969〜1971 NTV)に放送作家集団のメンバーとして参加。このときの放送作家メンバーには井上ひさし氏や中原弓彦小林信彦)氏、喰始氏らが名を連ねていました。

 1971年、脚本家としてデビュー。一部資料では『意地悪ばあさん』の脚本を執筆したとの情報もあります。1973年、NHKの少年ドラマシリーズそれいけ名探偵』執筆後、『あがり一丁!』(1976 NTV)や『気まぐれ本格派』(1977 NTV)、『オレの愛妻物語』(1978 NTV)など日本テレビ系で布勢博一氏松木ひろし氏がメインライターとして執筆するドラマにサブライターとして参加。

 そうした中、自らがサブとして参加していた布勢博一氏メイン脚本『熱中時代』(1979 NTV)が大ヒット。以後、日本テレビ以外のドラマにも執筆の場を広げ、1979年にはTBSの水曜劇場熱愛一家・LOVE』にサブとして参加。翌1980年の水曜劇場『家路PART2』(TBS)ではメインライターとして活躍。1981年にNTVで発表した『かくれんぼ』(1981 NTV)がヒットし、注目されます。

 以後、1980年前半は、日本テレビでグランド劇場『キッド』(1981 NTV)、『花咲け花子』(1981 NTV)、『春よ来い』(1982 NTV)、『風の中のあいつ』(1984 NTV)、『気になるあいつ』(1985 NTV)といった作品を発表する一方、『春の訪問者 ミセスとぼくとセニョールと!』(1980 TBS)や『あとは寝るだけ』(1983 ANB)、『花嫁人形は眠らない』(1986 TBS)、水曜ドラマスペシャル『恋子の毎日』(1986 TBS)、ザ・ドラマチックナイト『艶歌・旅の終りに』(1987 CX)、『時間ですよふたたび』(1987 TBS)などカノックス久世光彦演出の作品のほか、月曜ワイド劇場『冬の京都 旅は道づれ女ざかり』(1986 ANB)あたりから木下プロ作品の執筆も手がけ、鎌田敏夫氏が執筆してヒットさせた同プロ制作『金曜日の妻たちへ』を受けた「金妻」路線の金曜ドラマ『金曜日には花を買って』(1986 TBS)を無難に手堅くまとめあげ、以後このフォーマットを生かした『空に星があるように』(1988 TBS)、『海岸物語 昔みたいに』(1988 TBS)等の木下プロ作品を執筆。
 このほか、TBSの名演出家だった堀川とんこう氏にも水曜ドラマスペシャル『ポルノ女優・小夜子の冒険』(1987 TBS)やドラマ23『帰っていいのよ、今夜も』(1988 TBS)といった作品を提供。その多才な腕前が注目されます。
 一方、慶応大学の同期生だった山田良明氏がドラマプロデューサーをつとめていたフジテレビにも進出。『笑顔泣き顔ふくれ顔』(1982 CX)を手はじめに、布勢博一氏の関連で『どっきり天馬先生』シリーズにも執筆。1985年に発表した木曜劇場間違いだらけの夫選び』(1985 CX)が話題となり、同じ路線で『間違いだらけの女磨き』(1987 CX)を発表し次第にヒットメーカとして評価されていきます。

 フジではその後、山田良明プロデューサーが「それまでドラマに見向きもしなかった女子大生やOL層に共感されるドラマを目指した」という、浅野温子浅野ゆう子の「W浅野」共演の木曜劇場『抱きしめたい!』(1988 CX)を執筆。木下プロに提供していた金妻フォーマットのドラマを若者むけに直したような印象のこのドラマは大ヒットを記録。翌年には同じ浅野ゆう子主演による『ハートに火をつけて!』(1989 CX)を発表し、こちらもヒット。「トレンディードラマという新ジャンルを確立した」としてマスコミやドラマ関係者から注目され、一躍人気脚本家に。

 以後、鹿賀丈史が軽妙な芝居を見せてくれた『シリーズ・街、渋谷/だまされたって、愛されたい』(1989 ANB)、タイトルバックでキスシーンを連発して話題となり「狭義の意味でのトレンディドラマ」最後のヒット作とされる『世界で一番君が好き!』(1990 CX)などの都会的なドラマを発表する一方で、ドラマスペシャル『普通の結婚式』(1990 TBS)、水曜ドラマ『愛されてますかお父さん』(1990 NHK)といった往年のホームドラマを一歩進めた形態の家族模様を描いた作品を発表。その多才ぶりが改めて注目されました。

 そのような中、発表されたのがドラマスペシャル『1970ぼくたちの青春』(1991 CX)。演出の杉田成道の出身地・豊橋を舞台に、出版社に勤める「私」が高校の同窓会に向かう渋滞の道中、20年前の高校時代を回想するというスタイルのこのドラマは、倉本聰を感じさせるナレーションや、村上龍「69」をほうふつさせるシチュエーションなど気になるところもあったものの、端正で、凛々しく、しかも瑞々しい、「傑作」であり、それまでの松原敏春の作風を超えた世界がそこにありました。劇中で使われたテンプターズの「エメラルドの湖」も印象的でした。

 同じ1991年に発表された金曜ドラマ『結婚したい男たち』(1991 TBS)でもいち早く「脱トレンディ」を狙ったドラマづくりを感じさせてくれた。また翌92年の『しあわせの決断』(1992 CX)は結末となった「決断」が予定調和でがっかりさせられたものの、田中美佐子中村雅俊という組み合わせの中に新しいドラマを感じさせてくれた。また同じ年には『腕におぼえあり2 帰ってきた用心棒』で時代劇を執筆するなど、新境地を開こうとする松原敏春の意気込みが感じられました。

 こうした多様な試みは『水清冽の長良川 愛されたくて』(1992 NBN)を経て、1993年に意外な形でまとまります。
 この年の正月に放送された新春ドラマスペシャル『家族日和'93』がそれで、本作では自身の本領ともいえるホームドラマ世界に回帰したかのような作りで家が取り壊されるというエピソードを通して家族とは何かを描く、凛々しさのあふれる作品にまとめることに成功しました。そこには喜劇から出発してホームドラマに本領を見いだした松原敏春が、トレンディードラマという世界を経たことで得られた独自の世界が確かにありました。松原敏春は本作などを対象として向田邦子賞を受賞

 同じ年には、木曜劇場『愛情物語』(1993 CX)を経て、連続テレビ小説『かりん』(1993 NHK)を発表。伝統ある信州みその老舗の一人娘・小森千晶(細川直美)が、戦後の混乱で傾きかけた生家を盛り返すという典型的な連続テレビ小説の素材に松原敏春らしい叙情味が加えられました。

 その後の作品としては、『お玉・幸造夫婦です』(1994 YTV)、東芝日曜劇場『きのうの敵は今日も敵』(1995 TBS)、ドラマ『ビジネスマン空手道 お父さんの逆襲!』(1995 NHK)、ドラマスペシャル『子を貸し屋』(1996 TX)、24時間テレビ・愛は地球を救う!『勇気ということ』(1997 NTV)、BSドラマ『鶴亀ワルツ』(1998 NHK)、『バースディ〜こちら椿産婦人科』(1999 TX)などがあります。これらの作品はいずれも松原敏春氏がそれまでに目指してきた世界をさらに深めた作品が少なくありません。

 松原敏春氏の作品には80年代において独自性よりも鎌田敏夫氏や布勢博一氏の呪縛を脱し切れていないもどかしさを感じさせずにいられないものがありました。90年代に入っての『1970ぼくたちの青春』にしても瑞々しい佳編ながらどうしても倉本聰や村上龍といった他の作品を彷彿させるイメージがつきまとっていたのは事実です。それは恐らく松原敏春自身が強く感じていたことではないでしょうか。
 90年代、「トレンディドラマ」が終焉を迎えたとき、いち早く「脱トレンディ」を目指したのは他ならぬ「トレンディドラマ」の代表的ライターであった松原敏春氏でしたが、これは早くから一刻も早く自分自身の作風を確立させたいという同氏の焦りと意気込みの現れだったのではないでしょうか。これから、自分が本当に書きたい世界が書ける!氏はそう思っていたのではないでしょうか。

 こんなこともあったのか、50歳をこえた松原敏春氏に亡くなる1年ほど前から再び目立つ「重要な」仕事が増えていたのです。

 芸術祭参加作品『角筈にて』(1999 TX)、金曜エンタテイメント『最後のストライク 炎のストッパー 津田恒美』(2000 CX)、土曜ワイド劇場特別企画『新春ドラマスペシャル 菊次郎とさき』(2001 ANB)がそれで、ホームドラマで鍛えられた松原敏春氏からしか生まれないといってもいい、家族の微妙な関係が映像にすくい上げられていておもわずはっとさせられるような輝きが作品に満ちていました。
 とりわけ『菊次郎とさき』では喜劇的な家族模様の中から家族愛の真の姿を浮かびあがらせた感動と熱気あふれる傑作で、今後の松原敏春氏の活躍が大いに期待できると思っていました。同氏の訃報はそんな矢先のものでした。

 2001年2月6日1時46分、重症肺炎のため東京都武蔵野市の病院で死去。53歳。

 なお、逝去後の2001年4月に放送された『21世紀特別企画/天国までの百マイル』(TX)は、2001年度芸術祭優秀賞を受賞しました。また2002年新春には『角筈にて』の原作である浅田次郎・著「鉄道員(ぽっぽや)」から想を得た『新春ドラマスペシャル/鉄道員(ぽっぽや)/青春編』(ANB)が放送されました。これが松原敏春氏の遺作にあたるとされています。

 なお、松原敏春氏はテレビドラマでの活躍のほか、佐藤B作主宰の劇団「東京ヴォードヴィルショー」の文芸委員として「黄昏れて、途方に暮れて」などを作・演出していました。こちらでも数々の足跡を残されています。

 


テレビドラマデータベースの「雑談掲示板」での松原敏春氏が逝去された時の書き込みより

【名  前】アール・ケイ
【タイトル】どうか誤報であってほしい…
  2001/02/06 18:55
 
【メッセージ】
共同通信によりますと、脚本家・松原敏春さんが亡くなられたとのことです。
正月ドラマ『菊次郎とさき』でも健在ぶりを発揮されていたばかりなのに…ショックを受けております。
どうか誤報であって欲しい…

(アール・ケイ) 松原 敏春氏(まつばら・としはる=脚本家、演出家)6日午前1時46分、肺炎のため東京都武蔵野市の病院で死去、53歳。自宅は三鷹市…(中略)。1960年以降、「かくれんぼ」「抱きしめたい」など多数のヒット作を手掛けたほか、93年には「家族日和93」で向田邦子賞を受賞した。 2001/02/06 20:02:06
(アール・ケイ) 以上は日経テレコンよりの引用でした。残念ながら事実のようです。ギャグメーカーとして、トレンディドラマの旗手として、人情コメディの鬼才として、そして劇団の作者・演出家として大活躍をされた松原さん…。心より、こころより哀悼の意を表します。しかし、、、ご本人も無念だったでしょうねえ… 2001/02/06 20:07:06
(Gershwin Melody) 松原さんは佐藤B作さん率いる東京ヴォードヴィルショーにも何本も台本を書いてます。ま、この言葉が正しいかどうかは別として、「庶民の純情」の描けるヒトでしたな… 2001/02/06 20:26:48
(ゆきのん) 「抱きしめたい」あのノリと出演者達の掛け合いが好きでした。 2001/02/06 21:00:06
(つるかめ) 津田投手の「最後のストライク」も松原さんでしたよね・・・面白うて、やがて哀しき・・・という世界を描かせれば絶品の方でした。 2001/02/07 00:18:19
(Tちゃん) 僕はトレンディ・ドラマ時期の松原さんの作品だと「ハートに火をつけて」のセリフのテンポよさに感心しました。(再放送の時に見た。トレンディドラマ全盛の時期にはほとんどドラマ見てなかった)「抱きしめたい」より僕の中での評価は上です。そうそう久世さんの作ったドラマだったかなあ、東日本逆境同盟ってあれも松原さんの創作でしたっけ? 2001/02/07 01:42:58
(Tちゃん) ともかくもセリフが素晴らしかった、ご冥福を祈ります。追悼特番とかないのかなあ。 2001/02/07 01:44:11
(ページ作者) たぶん器用な方だったのでしょう。「倉本聰」風、「鎌田敏夫」風というように発表する作品によってコロコロと文体を変えていたような印象です。それが長所でもあったけど短所でもあったような気がします。こんなときに書くのはどうかとも思うけど敢えて書けば、独自の文体というものが確立できないままだったのが惜しまれます。 2001/02/07 02:09:27
(明日 春) 松原さんので私が一番好きだったのは「間違いだらけの夫選び」かな、はっきり覚えていないんだけど全文検索の結果だと「熱愛一家LOVE」もそうだったんですね、これも好きだったなぁ。 2001/02/07 08:49:16
(Tちゃん) >GM様、そうそう「たそがれて途方にくれて」もボードヴィルショーでの松原さんの作品でした。一昨年の本多劇場での再演の時見ました。疾走感とまったり感と緩急自在な独特のテンポがある芝居でした。 2001/02/07 10:54:39
(HK) 私が好きだったのは『花嫁人形は眠らない』かな。金子成人さんとの共作でしたが温かさがしみる佳作でした。 2001/02/07 15:36:39
(HK) あと、松原さんは女性同士の「おしゃべり」というか「やり取り」がとても上手かったと思います。『抱きしめたい!』はもちろんなんですが、『結婚しない男たち』の南果歩&山口智子のやり取りとかもすごく良かった。 2001/02/07 15:37:35
(お茶) 間違いだらけの夫選び、花嫁人形は眠らない、結婚しない男たち、好きです。早すぎる死です。御冥福をお祈りします。 2001/02/07 21:26:31
(お茶) あれ、そういえば、結婚したい男たち、だと思ってた。 2001/02/07 21:30:13
(お茶) 検索の結果、「結婚したい男たち」でした。 2001/02/07 21:32:37
(zoom) 先月まで、不定期ではありましたが、東京新聞でコラムをかかれていました。懐かしい話、息子さんのこと・・松原さんの人柄が感じられるあたたかい文章でした。 2001/02/07 23:44:01
(Tちゃん) 松原さんは「人情」系の作家と思われがちですが、エゴイズムとナルシズムに基づく人間存在の悲しさを描く作家でもあったなあというのが、最近の僕の認識です。メジャー志向のマイナー体質とでもいうのでしょうか。(どこか夏目漱石にも通ずるような言い方になってしまいましたが)「ハートに火をつけて」のどっちともくっつかない結末って、「女の自立」みたいなとらえ方されてたようだけど、今見るとナルシズムからだとの解釈も可能だったりします。向田賞の家族日和’93も明るいコメディーでいつつも、そのキャラたちのエゴってよ〜く考えたら嫌になるなあって感じでした。明るさの裏の辛くて渋い隠し味ってな感じでしょうか 2001/02/08 07:48:25
(HK) あっ、すみませんでした。「結婚したい男たち」でしたね。一文字で、全然意味が違ってしまう・・・。お茶さん、ご指摘ありがとうございました。 2001/02/08 11:46:31
(どら) 私は「だまされたって愛されたい」が大好きです。今でもたまにビデオを見直すほどです。 2001/02/09 02:15:57
(ちはる) こないだまで「しあわせの決断」やってました。「ハートに火をつけて!」「男について」が好きです。 2001/02/09 23:23:38

無断転載はご遠慮ください。リンクはご自由に。

掲載内容については各自の責任において利用してください。当方では責任を負いません。

Copyright Furusaki Yasunari 2001

mailto:furusaki@j.email.ne.jp