はしずめ・いさお(はしづめ・いさお)。
1941/09/17大阪府出身。
1960年青山高校を卒業。文学座附属演劇研究所修了。
文学座附属演劇研究所出身で文学座を経て1963年、芥川比呂志主宰の劇団雲に所属。その後、1975年に演劇集団円の設立に参加。
舞台作品ではモリエールの「スカパンの悪だくみ」で注目され、以後、「ヘンリー4世」、「雰囲気のある死体」、「ドリスとジョージ」、「野田版・国性爺合戦」、「夜叉ヶ池」、「十二夜」、「マルタ島のユダヤ人」、「My
Fair Lady」など話題作、注目作に多数出演されています。
テレビドラマでも1965年の『新選組血風録』あたりからぽつぽつ出演作を重ねてきましたが、1977年の『男たちの旅路・第二部』(NHK)あたりから出演作品が増加し、次第にテレビドラマでも貴重なバイプレーヤーの地位を確立し今日に至ります。
所属・円企画。
テレビドラマでの橋爪功はバイプレーヤーとしての役割を的確に演じていることから、彼自身の特段の存在感を感じさせない結果となっているのは逆にその役割を見事に果たしている証拠であり、とりわけ、『土曜ドラマスペシャル/スティル・ライフ』(1989年TBS)での証券会社の支店長役や『ドラマスペシャル/1970 ぼくたちの青春』(1991年CX)での在日朝鮮人の時計工の役など、単発ドラマでさらりと演じた役柄に印象に残る役が多い。
ドラマ『スティル・ライフ』の演出者・堀川とんこう氏は、著書「ずっとドラマを作ってきた」(1998年、新潮社刊)で橋爪功のドラマでの見事な演技を称賛を込めて記している。
多くのドラマで橋爪功はその役割を作り手の期待以上に上手く膨らませて演じているが、その反面、彼が演劇で舞台をぐいぐいと引っ張っていく力というものに関してはテレビドラマでまだ十分生かし切れていない面がある。これは作り手の課題ともいえるものであり、数少ない成功例としては、『木曜劇場/熱くなるまで待って』(1987年CX)でのゲシュタホもどきの召使い役を映画「博士の異常な愛情」におけるピーター・セラーズばりの芝居で演じきったあたりが挙げられる。(この作品、辛口に評すると残念ながら作品として成功したかどうか疑問の余地もあるが全体として楽しめる作品にまとまっていることは確かである。)
このほか、例えば『金曜ドラマ/ずっとあなたが好きだった』(1992TBS)での賀来千香子の父親役あたりはもっと作り手が橋爪功を生かせるような役割を配することが出来たはずなのに十分生かし切れていなかったのは残念でならない。
そんな中で、現在、断続的にオンエアされている『木曜ドラマ/京都迷宮案内』で橋爪功は新聞記者役で主演を果たしている。主役を演じるその芸風は、『火曜サスペンス劇場/女弁護士高林鮎子』シリーズで彼自身が演じてきた脇役的な飄々としたパターンをより一歩、進めたものになっている。今後、このあたりから橋爪功独特の存在感が主役の位置でも醸し出されていくことを期待したいところだ。